『舞いあがれ!』あまりにつらい浩太の最期 朝ドラで描かれてきた「父の死」を振り返る

『舞いあがれ!』あまりにつらい浩太の最期

 連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)の第14週となる「父の背中」が放送された。取引先からの本注文を待たずにネジを作り始めたことが仇となり、IWAKURAはかつてないほどの窮地に立たされる。浩太(高橋克典)は倒れ病院に運ばれたが、そのまま帰らぬ人となってしまった。誰よりも舞(福原遥)を応援してきた父の、あまりにもつらい最期となった。

 浩太の死を医師から告げられた瞬間、めぐみ(永作博美)は「うそやん」と小さく笑ったかと思うと瞬時にくしゃくしゃの顔で涙を流す。嗚咽を漏らし床に崩れ落ちる姿からは、混乱、不安、悲しみ、悔しさ、全ての感情があふれ出し、視聴者の心をも苦しくさせた。めぐみにとっての夫であり仕事のパートナーである浩太の存在の重さを感じずにはいられない。そしてまた舞にとっても父を亡くした喪失感は計り知れないものだろう。

 近年の朝ドラでは印象的な「父の死」が描かれてきた。家族を支える立場、主人公を応援する存在、はては主人公の人生で障壁になった父まで、様々な「父親」が登場したが、どれもインパクトの大きいキャラクターばかり。そんな存在である父親の死は、時に作品の重要なターニングポイントにもなってきた。

 今も忘れられない強烈な印象を残す死に際といえば、朝ドラ『スカーレット』(NHK総合)のヒロインの父・常治(北村一輝)の最期だろう。長女の喜美子(戸田恵梨香)に生活を頼りきりだったものの、北村一輝の芝居も相まってどこか憎めないところがあった常治。死に際におならを一発して皆を笑わせた後に、最愛の娘、喜美子の頭をポンポンとして死んでいった。

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 さらに「朝ドラ史上最低の父親」と言われるほど渾身の“ダメ父”演技を見せたのが、トータス松本演じる、朝ドラ『おちょやん』(NHK総合)のテルヲだろう。主人公の千代(杉咲花)が幼いころから何度も裏切っては傷付けるような真似を繰り返し、最後は酒におぼれ借金取りに追い回され、挙句の果てに獄中で吐血し絶命。救いようのない父親ではあったが、非常に強い印象を残した。近年の朝ドラのダメ親父といえば真っ先にテルヲを想起させる。

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