『ちむどんどん』賢三が遺した言葉の数々 大森南朋の“6日目”退場は早すぎた?

『ちむどんどん』賢三が遺した言葉の数々

 NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』第2週初日を最後に、大森南朋が惜しまれつつも退場することに。SNS上では、大森演じる主人公・暢子(稲垣来泉/黒島結菜)の父・賢三のあまりにも早い退場に「早すぎる」「お父ちゃんが、あんなに早く逝くなんて……」といった悲しみの声があがっていた。

 妻の優子(仲間由紀恵)とともに、暢子ら子どもたちの成長を穏やかに見守ってきた賢三。彼が子どもたちに大きな影響を与える心優しい父親であることは、初登場時から理解することができる。第1話で、学校で女らしくないとからかわれる暢子に賢三がかけた言葉は「暢子は暢子のままで上等」「自分の信じた道を行け」。暢子の目をまっすぐ見つめるその視線からは、真摯な人柄がひと目見てわかった。

 賢三の特徴を挙げるならば、大森の「見守る」姿。暢子が賢三と沖縄そばを作ったとき、賢三は味の仕上げを「自分を信じて作りなさい」と暢子に託す。第4話で子どもたちに「命をいただくこと」について伝えた後も、子どもたちに考える時間を与え、自ら行動させる。そしてそれを何も言わずに見守る。大森のあたたかな眼差しからは子どもたちの決断を信じる賢三の気持ちが十分伝わってくる。優子に対してもそうだ。賢三自身も戦争によって心に傷を負っているはずなのに、何も言わず、そっと彼女の肩に手を置くと、彼女の気持ちに寄り添う。台詞のない場面であっても、たくさんの苦労を乗り越えて幸せな家庭を築いてきた夫婦の絆の深さが伝わってくる。

 一方で、時折、賢三の暗い過去も感じられた。第2話で史彦(戸次重幸)と戦争の話をしていたとき、賢三は「自分も生きている限り、謝り続けないといけないと思っています」と口にする。普段と変わらぬ落ち着いた口調で、淡々と言ったように聞こえたが、その声色からは戦争を経験してきた者の重みも感じさせた。謝らなけれなならないことについて聞かれたときも、大森の表情を見る限り、答えなかったというよりは答えられなかったように見えた。彼の中ではまだ、解決していない深い問題がいくつもあるのだと感じる。

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