『PICU』涙なしには見られない子役の演技 柊木陽太、稲垣来泉らによる名演の数々

『PICU』柊木陽太、稲垣来泉の名演に注目

 “子どものためのICU”であるPICUで奮闘する若手小児科医・志子田武四郎(吉沢亮)の姿を描いている『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系)。本作の見どころは、武四郎の成長だけではなく、PICUで繰り広げられる温かな人間ドラマだろう。名だたる大人の俳優陣に囲まれながら、子役たちも負けず劣らずの光り輝く演技を見せている。

 母・南(大竹しのぶ)を病気で突然亡くし、感染症により、目の前で苦しむ圭吾(柊木陽太)のことも思うように助けることができない武四郎は、自分の無力さに打ちひしがれてしまう。ついに仕事も休み、南のいない家でひとり、心ここに在らずの状態となってしまっていた。そんな彼を再び奮い立たせたのは、負い目を感じていた圭吾だった。「俺、絶対に生きたい」。消え入りそうな声だが、それを発する顔には、闘志がみなぎっていた。

 圭吾を演じる柊木は、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)で、のちにトランペッターとなる錠一郎の幼少期を演じている。全身が汚れていながらも、ビール瓶をトランペットに見立て、楽しそうに体を揺らす少年のシーンを覚えている人も多いのではないだろうか。他にも近年、立て続けに話題作に出演しており、『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)で菅田将暉が演じた久能整の幼少期や、『ボクの殺意が恋をした』(読売テレビ・日本テレビ系)で中川大志が演じた男虎柊の幼少期を演じている。特に中川は柊木が憧れていた俳優のようで、同作のオフショットでは嬉しそうな表情を見せている。

 武四郎に前を向くきっかけを与えた圭吾だが、PICUに運ばれてきた当初は、懸命な処置を施した武四郎に向かって「なんで助けたんだ! 死んだ方が楽だった」と暴れるなど、その態度はひどいものだった。その圭吾に生きる希望を与えたのは同級生の優里(稲垣来泉)だ。病気になり、将来のことを考えるのをやめてしまった圭吾に優里は「中学生になったら、一緒に部活に入ろう」と叫ぶ。その後も高校生になったら、大学生になったら、と近い未来に圭吾もいることを信じていると訴えたのだ。優里の真っ直ぐな言葉が胸を打った。

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 優里を演じる稲垣は、10代ながらすでにさまざまな作品に出演しているベテラン。『TWO WEEKS』(カンテレ・フジテレビ系)では、PICUにいる子どもたちのように、白血病を患う女の子・青柳はなを演じたこともある。連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合)では食べることが大好きなヒロイン・暢子の幼少期を天真爛漫に演じた稲垣。一方で、本作やサッカー選手だった父の引退を受け入れられず、口を聞かなくなってしまう娘を演じた『オールドルーキー』(TBS系)では、かわいらしさの中に清らかさもある、少女から大人になりかけ難しい年代の様子を見事に表現していた。

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