『舞いあがれ!』柏木、パイロットとして大丈夫? エリートの鎧を脱いで見えた意外な一面

柏木(目黒蓮)、パイロットとして大丈夫?

 一方、柏木は最初、鼻持ちならないエリート風を吹かせていたが、あっという間に内面を出すようになった。狙いとしては、自信家で協調性のない欠点を、舞をはじめとしたチームメイトとの交流により克服し、ひとりでは空を飛べない、仲間がいるから飛べるのだということを学ぶという役割を担っていたようだが、単にエリートの固い鎧を着ていたのを、舞たちによって脱がされて、気のいいひょろっとした人物が出てきたという印象である。

 そのひょろっとした柏木くんは、協調性を身に着けはじめたと同時に、わがままひとりっ子の面も抑えきれなくなっている印象だ。舞との距離を急速に縮めていく様子が、ほしくなったらすぐ手に入れないといられない人物にしか見えない。まず、吉田(醍醐虎汰朗)と舞が仲良さそうにしているのを見てから積極的に動きだしたこと。大事なフライト課程のさなかに告白すること。大河内にこだわる舞に執拗に教官を替えてもらおうと言うこと。大河内に助けてもらって帰ってきた舞をひと目もはばからず抱きしめること。デートはまああってもいいとして、舞の実家に一緒に行き、「おとうさん」と呼ぶこと。極めつけは貴司(赤楚衛二)にばったり会ったとき「舞のことはこれからは僕が支えていきます」とマウントをとろうとすることである(しかも「舞」呼び)。

 なにかと堪え性のないタイプな気がして、パイロットとして大丈夫なのかなと気になる。そこは今後のお楽しみであるが、第55話、舞と柏木のお披露目に、浩太(高橋克典)、めぐみ(永作博美)、笠巻(古舘寛治)、結城(葵揚)とお好み焼きうめづで食事会のシーンは熊野律時チーフプロデューサーによるとこうだ。

航空学校編では家族のシーンは少なかったですが、ここでうまくドッキングしたことで、学校で舞がやってきたことを家族にも共有できたと思います。(※)

  物語のなかでは舞の実家・東大阪が重要であり、父母や昔ながらの工場の従業員、隣の梅津夫婦(山口智充、くわばたりえ)との交流場面が描かれたことで、工場のある町・ものづくりの町・人情のある町――地元の深いつながりが今後物語に大きく関わってくることを思わせた。

参照

※ https://news.yahoo.co.jp/byline/kimatafuyu/20221216-00328507

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
写真提供=NHK

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