『エルピス』永山瑛太がひた隠す過去 恵那と拓朗に決定的な亀裂?

『エルピス』恵那と拓朗に決定的な亀裂?

「『ニュース8』が目指してるのは派手なスクープで視聴率を稼ぐようなやり方じゃなくて、いかに堅実で丁寧な報道で視聴者の信頼を得るかってことなんだよ」
「いいんじゃないですか。自分たちの立場を損ねないためだけの努力を、勝手に堅実で丁寧だとか呼んでれば」

 グレーにグレーを塗り重ねると漆黒の闇になるのだろうか。進むべき方向が見いだせない『エルピス-希望、あるいは災い-』(カンテレ・フジテレビ系)第8話。大門副総理(山路和弘)に近い本城建託社長・本城総一郎(相馬未知雄)の長男・彰(永山瑛太)が、以前シャッター商店街の雑貨屋で会った怪しい風体の男であると聞かされた恵那(長澤まさみ)は、拓朗(眞栄田郷敦)に頼んで彰と連続殺人事件との関連性を調べさせる。記者の笹岡(池津祥子)の話では本城建託は「けっこうグレーな会社」であり、彰は2009年から2017年にかけて海外にいた。彰が日本にいなかった8年間は、連続殺人が途切れた期間と一致していた。彰の評判は良く、モテるタイプで疑われるような人間に思えなかったが、笹岡によるとそれが見ず知らずの彰に少女たちがついて行く理由になりえるのだという。

 最後に殺された中村優香(増井湖々)について聞き込みを行う中で、拓朗は優香と親しかった友人の高岡ひかる(堰沢結愛)から、生前の言動を耳にすることになった。ひかるは自分が好きになった大人の男性を優香に横取りされ、そのことがきっかけで絶交したと話す。実はその男性が彰で、ひかるは優香が送って来た彰の写真を拓朗に見せた。警察から彰の情報を得るため、拓朗は刑事の平川(安井順平)と接触し、優香の携帯の写真データを入手。そこには彰の写真が残っていた。

 優香の母・昌美(樋井明日香)に頼み込んで、優香が彰からプレゼントされたストールを借りてきた拓朗は、12年前に殺された井川晴美(葉山さら)のスカートから検出されたDNAと照合。結果は99.9%の確率で一致し、松本(片岡正二郎)が殺人犯ではないことが裏付けられた。これで検察による再鑑定の結論は覆ったが、これに加えて彰が真犯人であると言うには、彰のDNA型と一致していることを証明しなくてはならない。

 以上は新たに提示された事実だが、第8話では、事実を白日の下にさらそうとした瞬間、メディア内の壁が立ちはだかった。『ニュース8』にスクープを持ち込んだ拓朗に恵那が返したのが冒頭の一文で、それに対して拓朗が吐いたのが続くセリフである。報道部記者の滝川(三浦貴大)が言った「後追いはできるけど、スクープとしてはやれない」理由は、警察発表にない事実を公表することで起きるハレーションや責任、対外的なリスクであり、そのことを婉曲的に表現すると恵那のセリフになる。恵那自身も歯がゆさを感じており、整体に行ったくらいでは抜けない疲労と屈託を抱えている。その証拠に、せめてもの気持ちで村井(岡部たかし)を介して週刊誌編集長の佐伯(マキタスポーツ)を拓朗に引き合わせた。

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