『祈りのカルテ』玉森裕太と原田泰造の新事実が明らかに 観月ありさの“新しい顔”も

『祈りのカルテ』玉森裕太と原田泰造の関係

 さまざまな患者が次から次へと訪れる「救命救急科」は、これまで数多つくられてきた医療ドラマが示してきたように外科と並んで極めて“ドラマ向き”の題材といえるだろう。11月19日に放送された『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』(日本テレビ系)第7話で良太(玉森裕太)が研修を受けるのはその「救命救急科」。そこで一人の患者にフォーカスするというこのドラマのスタイルを貫くとなれば、夜勤の一晩に起こる出来事だけを描くかたちにしたのは最良の選択である。

 夕方になった途端に、救命救急科へ次々と患者が運ばれてくる。繁華街で動けなくなったと自ら救急要請をしてきた秋田(やべきょうすけ)という元ヤクザの男は、すでに意識を消失していた。指導医の柚木(観月ありさ)の指示で良太がブドウ糖を投与すると、突然痙攣を起こす秋田。軽い糖尿病の傾向があるものの持病もなく、MRIでも異常は見られず。良太たちは意識障害の原因を考え、柚木は薬物の可能性を指摘。すると良太と共に研修していた牧村(濱津隆之)は、その日の午後に消化器内科の病棟に無断で侵入しようとした不審な男と秋田の特徴が一致していることに気が付くのだ。

 まず今回のエピソードの見どころは、なんといっても指導医の柚木を演じる観月ありさである。これまでも毎回個性的な指導医たちが登場してきた本作だが、体力勝負の救命救急科で、医局にサンドバッグを設置してトレーニングに励む体力おばけっぷりは実にユニーク。観月が医療現場にいるとどうしても『ナースのお仕事』(フジテレビ系)を思い出してしまうわけだが、良太に「コツは脊髄反射で治療すること」とアドバイスし、患者と向き合う際にはきちんとお手本になる。違う意味で脊髄反射だったあの頃とはガラリと変わって安心感がある。

 さて大筋の物語としては、意識障害の原因を探りながら、秋田がなぜ純正医科大病院にこだわるのか、なぜ時間を頻繁に気にしているのかといった部分に焦点が当てられていく。その先にある答えは、これまでの傾向通りのシンプルなヒューマンドラマに徹される。秋田は生き別れとなっていた母親が消化器内科に入院していることを知り、彼女の誕生日に会おうとしていたというのだ。

  第4話でも患者の母娘の関係を描きながら、良太と継父である幸一(矢柴俊博)の関係や裕也(矢本悠馬)と冴木(椎名桔平)親子の関係へと波及していったわけだが、今回も同様に患者の親子ドラマが研修医たちの親子ドラマと連動する。誕生日に浮かれてはしゃぐ裕也がひとりぼっちになったところにやってくる冴木。レストランで吐血して救急搬送されてきた母のもとに駆けつけるみどり(池田エライザ)。病院内でのドタバタや指導医の個性、研修医たちの青春模様などいくつものトピックを有するこのドラマが特に描きたいテーマは、やはり親子のドラマであるのだと改めて実感できる。

 そしてそこに、もうひとつ。冴木の回想によって描かれた、広瀬(原田泰造)と良太が親子であるという新事実が重ねられる。良太の父は、良太が2歳の頃に病死しているのだと第3話にあった。思い返してみれば、第1話で良太と広瀬が出会うシーンで、名札を見た広瀬の表情が一瞬変化するさまが捉えられていたが、まさかこのように繋がってくるとは。ラストで広瀬のアパートを訪ねていく良太。このもうひとつの親子関係が、ドラマ終盤に向けた大きな転換点となるのだろう。

■放送情報
土曜ドラマ『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:玉森裕太、池田エライザ、矢本悠馬、濱津隆之、堀未央奈、YU、松雪泰子、椎名桔平
原作:知念実希人『祈りのカルテ』シリーズ(角川文庫/KADOKAWA)
脚本:根本ノンジ
演出:狩山俊輔、池田千尋
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:藤森真実、戸倉亮爾(AX-ON)
音楽:サキタハヂメ
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/inorinokarte/
公式Twitter:@inorinokartentv
公式Instagram:@inorinokartentv

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