『スメルズ ライク グリーン スピリット』BD＆DVDは煌めき閉じ込めた宝箱　映像特典も必見

　また、あの煌めきたちに会える。2024年9月期にMBSドラマフィル枠にて放送されたドラマ『スメルズ ライク グリーン スピリット』のBlu-ray＆DVD BOXが3月26日に発売となった。

　2011年から2012年まで『コミックBe』（ふゅーじょんぷろだくと）で連載された永井三郎の漫画を実写ドラマ化した本作。タイトルを聞いて、1991年に発売された米ロックバンド・ニルヴァーナの代表曲「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」を思い浮かべる人もいるのではないだろうか。本作も1990年代をイメージした時代設定、かつ閉鎖的な田舎が舞台となっている。スマホはもちろん、娯楽や逃げる場所もない。そんな中で、自分らしくいられる“桃源郷”を求め、もがく少年たちのひと夏をノスタルジックな映像で映し出した青春ストーリーだ。

　髪が長いという理由で同級生からいじめを受けている主人公の三島（荒木飛羽）、三島をいじめるグループのリーダー・桐野（曽野舜太）、その取り巻きでなぜか必要以上に三島に強く当たる夢野（藤本洸大）、都会の学校から転任してきた社会科教師・柳田（阿部顕嵐）の4人を中心に物語が展開されていく。

　見どころは何といっても、それぞれが抱えるアイデンティの葛藤を体現した若手俳優たちの名演だろう。彼らが見せるリアルな心の揺れ動きが、生きる時代や悩みの種類は違っても、決して他人事には思えないキャラクターたちを作り出している。

　主演の荒木飛羽は、2019年に放送された『あなたの番です』（日本テレビ系）で木村多江演じる早苗の息子・総一役に抜擢され、その狂気的な演技が話題に。Netflixシリーズ『First Love 初恋』では満島ひかり演じる也英の息子・綴の甘酸っぱい初恋を瑞々しい演技で体現するなど、いずれの作品でも強いインパクトを残してきた。どこかミステリアスなオーラを纏っており、不思議と目を引かれる俳優だ。

　そんな荒木の魅力が、周囲の人々に様々な感情を呼び起こさせる三島のキャラクターに説得力を与えている。三島の恋愛対象は男性だ。女装にも興味があり、隠れて母親の口紅を塗ったり服を着たりすることを心の拠り所としている。口紅を塗っただけでクラスの女子の誰よりも可愛くなれる……という本人の見立てもあながち間違っていないほどの美少年で、儚げな印象でありつつも、元レディースの総長である母・香奈（酒井若菜）に育てられたこともあり、自己肯定感が高く芯の強さを感じさせるキャラクターだ。