『PICU』高杉真宙と吉沢亮の見事な呼応に息を呑む なぜ大竹しのぶは体の異変を隠すのか

『PICU』高杉真宙と吉沢亮の見事な呼応

 病室での志子田とのやりとりで、声を絞るように出しながらようやく自分の苦しさや辛さを言葉にでき、徐々に心のバリアが決壊し血が通っていく悠太の姿を高杉があまりにリアルに演じており、志子田役の吉沢との呼応に息を呑んだ。友達だから互いにしかわからないことがあり、見せ合っていない情けない姿がある一方で、友達だからこそ幻滅されたくなくて、いつだって同じように足並みを揃えていたくとも、励まし合える存在でいたいからこそ弱音が吐けないこともある。

 志子田が言った「悠太の命は悠太のもの」 ―この至極当たり前のことではあるものの、忙しさや理不尽、あまりに重すぎるストレスに押しつぶされ自分自身のことを後回しにせざるを得ない過酷な状況が続くと、どうしたって忘れてしまいそうになるこの事実の力強さに、こちらまで救われた気持ちになった。

 科長の植野(安田顕)が救命医の綿貫(木村文乃)に伝えた「いろんなことを抱えて働いてもいいと思う。でも一人で抱えないでね」は現代を生きるみなの心に染み入るものではないだろうか。

 悠太の異変に当初向き合いきれなかった志子田よ、一番近くにいて普段は憎まれ口を叩き合っている母親の異変に、どうか少しでも早く気付けますように。南一人に自身の病状や不安を抱え込ませてしまいませんように。

■放送情報
『PICU 小児集中治療室』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:吉沢亮、木村文乃、安田顕、生田絵梨花、高杉真宙、菅野莉央、甲本雅裕、中尾明慶、高梨臨、菊地凛子、正名僕蔵、松尾諭、大竹しのぶほか
脚本:倉光泰子
演出:平野眞
プロデュース:金城綾香
医療監修:浮山越史(杏林大学病院)、渡邉佳子(杏林大学病院)
主題歌:中島みゆき「俱に」(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
音楽:眞鍋昭大
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/PICU/
公式Twitter:@PICU_cx
公式Instagram:@picu_cx

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