安田顕がどの場所でも大切にするユーモア 『PICU』で果たす、若者たちの背中を押す役割

安田顕がどの場所でも大切にするユーモア

 吉沢亮の涙が、テレビ越しの多くの視聴者の涙を呼んだ『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系、以下『PICU』)の第1話。主人公の小児科医・志子田武四郎(吉沢亮)がPICU(Pediatric Intensive Care Unit=小児専門の集中治療室)に配属されてまもなく、小さな女の子が目の前で命を落とした。泣きはらす武四郎と同じように目を赤く染め、「次に同じことが起きたら確実に助けられるように」と武四郎を導いていくのが植野元(安田顕)だった。

 植野先生を演じる安田顕は、1月クール放送の『しもべえ』(NHK総合)と『逃亡医F』(日本テレビ系)、4月クールの『未来への10カウント』(テレビ朝日系)、7月クールの『初恋の悪魔』(日本テレビ系)と、2022年全クールで主要テレビ局のドラマに出演。そんな引っ張りだこな安田に、2022年最後のドラマ出演となる本作に懸ける思いを聞いた。

「無我夢中」で取り組んだ2022年5作の連続ドラマ

――2022年は全クールでドラマに出演されていますね。

安田顕(以下、安田):ありがたいことです。こうやって続くと、ふとした瞬間に、漠然とした不安がよぎるようになってくるんですね……。今のは冗談ですからね?(笑)

――(笑)。『PICU』は今年最後のドラマになりますが、数多くのドラマに出演されたこの1年を振り返っていかがですか?

安田:無我夢中で取り組ませていただいている状態です。どの作品もそうですけど、一つ一つに自分なりの全身全霊を込めて、スタッフの皆さんと作っていけたら、という思いです。

――『PICU』の企画を最初に聞いたときの率直な感想を教えてください。

安田:最初に本を読ませていただいて、非常に心が打たれました。命に対する向き合い方について、大切なことを教えてもらえるなと感じましたし、真摯に向き合って、取り組むことができる作品だなと思いました。

――安田さんが演じる植野元という役は、実在する植田育也医師がモデルになっているそうですね。

安田:どの役でも向き合うことに差異はないと思いますが、実在する人がいるというのは、違う緊張や、モチベーションが出てきます。埼玉県立小児医療センターに植田先生に会いに行った際、とても興味深かったのが病院の設備でした。入院している子供たちが目を開けたときに、心が落ち着くものが必要だから、窓をこだわってつけていて。その窓は、植田先生が図面から描かれているそうです。自分の仕事を通して、どのように子供に対して取り組んでいらっしゃるかがすごく伝わってきました。

――治療だけではないんですね。

安田:そうですね。資料で読んだ植田先生のインタビュー記事で「助かった子供たちはそれでいい、自分のことを思い出す必要はない」と話されていて、残念ながら命が途絶えてしまった子に対する想いを人一倍持っていらっしゃる方なんだと感じました

熱意をどう使えばいいのか、背中を押してあげる

――第1話での植野先生はとても優しい人柄が伝わってきました。

安田:優しいですよね。そして、若手を育ててPICUを続けて広げていくために、教育者として頭ごなしに教えるのではなく、チームとして一緒にやってくれることに感謝の気持ちを持っている方。それは植野先生でもあるし、植田先生でもあると思います。セリフを穏やかにしゃべるように意識しているのですが、セリフ量が多いので、尺が長くなってしまったらどうしようと思うときもあって(笑)。でもそれよりも、ゆっくり喋って的確に伝えたいなと。

――相手が聴けるような感じで?

安田:そうですね。“言い負かす”ではなく、“ディスカッション”ですね。次こそ、悲しいことを繰り返さないためには、共にベストなものが何なのか、それを考えていきましょうと。

――主人公・志子田はどんな人物であると考えていますか?

安田:志子田は熱意というものをどう使えばいいのか学んでいるところなんですよね。自分たちが若い頃にわけも分からず空回りしていたところをどうすればいいのか、植野が背中を押してあげることが役目だと思ってます。志子田は決して熱意がないわけではないんです。その熱意をどう活かしていくことがベストなのか、それが成長に繋がっていくお話なのかなと、今いただいている台本を読んでいて思います。

――植野先生と志子田の関係性をどう考えながら演じていますか?

安田:間違いないのは、自分も若いときそうだったということなんです。それ以上に、何かしら似たもの同士なところがあるんだろうなとも思うんです。妙に気が合うとか、自分の若い頃を思い出すとか、共通項があるんですよね。志子田が何を目指してPICUという門を叩いたのか、第1話のラストで明かされた手紙に書いてあったことが彼に対する思いだと思います。

――演じる吉沢亮さんはどんな俳優さんでしょうか?

安田:何回かご一緒しているんですけど、本当に素晴らしい俳優さんで、間違いないわけです。間違いないから月9の主演なんですよね。

――吉沢さんが、安田さんが北海道出身なので、北海道ロケでは美味しいお店を教えてもらいたいとおっしゃっていたそうです。

安田:全然詳しくないんです(笑)。「札幌に行ったら絶対ここに行って」とか言えないですし、「いい感じのラーメン屋さんとか知らない?」とか言われると、「ラーメン横丁でいいんじゃないですか?」とか、そういう人間なもので。

――吉沢さんから質問されたらどう答えますか?

安田:「じゃあ、一緒に食べログ見ようか」って(笑)。

――(笑)。ドラマで北海道の景色も映し出されていきますね。

安田:北国出身の共通の感覚と思っているのですが、冬の空気が好きなんです。空港に降り立ってすっと空気を吸ったときに、凛とした空気というのがあって。寒空の中、空気が澄んだ、あの凛とした空気の感覚は、北海道とか北国で生まれた人間が感じることができる、共有することができるものだと思うんです。そういった空気が好きですね。あとは、移動中の車窓の広大な景色だったり、自分が生まれたところはやっぱり落ち着きます。そこをドラマの舞台に選んでくださったというのは非常に嬉しいことです。

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