『ポプテピピック』は制作サイドにとっても“声優ガチャ”!? 進化した第2期の裏側に迫る

『ポプテピピック』第2期の裏側に迫る

第2期の個人作家は原作者・大川ぶくぶからの提案も

――『ポプテピピック』では第1期の頃から、たくさんの個人アニメーション作家が参加しています。色々なスタイルのアニメーションが観られて、個人作家の見本市のようです。

青木:第1期の時、神風動画の水﨑淳平代表が、この原作をアニメ化するならショートショートのようにしてつないでいくのがいいだろうと考えて、そういうのが得意だろうと僕の名前を挙げてくださいました。そこから、色々な個人作家を自分で提案しています。当初からAC部さんなどが神風動画さんからアサインされていたので、かなり振り幅があっていいんだなと思い、商業アニメ経験の有無にかかわらずユニークな個人作家を呼ぶことにしました。

――日本はアニメ大国と言われますけど、いわゆるセルルックのアニメ大国で、それ以外のスタイルまで盛んというわけではありません。そんな中で、『ポプテピピック』みたいな自由度の高い原作を活用して、いろんなアニメーションと作家を広めたいという意識もあったんですか?

青木:そのような文化的な使命感はなかったです。単純に自分がそういう界隈出身で、そこに面白いものを作る人がたくさんいることを知っていたので、あくまでネタとのマッチング本意で考えて声をかけているだけです。ただ、参加していただくからにはしっかり作家の名前を出して、この面白いものを作ったのはこの人だよとちゃんと示そうとは思っていました。

――第2期では新たな作家さんも参加されています。青木さんが声をかけているのですか?

青木:僕が声をかけた人もいますが、ぶくぶ先生自ら個人アニメーション作家のリストを出してくださって、そこから選ばせていただいた方もいます。多くのジャンルに詳しいぶくぶ先生ですが、そういった方向にもアンテナを拡げていらっしゃるようです。

――声優のキャスティングは毎週大きな話題となりますが、どういう基準でオファーされているのでしょうか?

青木:キャスティングに関しては、ほぼ全てぶくぶ先生とキングレコードさんのアイデアです。ぶくぶ先生がとにかく声優さんの情報に精通しているので、どのエピソードで誰にオファーするか決めていて、アニメの制作サイドはほぼノータッチです。ですから、どのエピソードに誰が起用されるのか、僕たちもわかりません。本作の場合、その意思が統一されていないのが、面白さを生んでいるようにも思います。

――アニメ制作サイドから見ても声優ガチャなんですね。

青木:そうですね。「このネタににその人を当てるのか!」とこちらが驚くことも多いです。

――有名な声優さんばかりなので、スケジュール調整が大変ですよね。

青木:キャストのスケジュールは、音響会社の制作さんが調整してくださっているんですが、ものすごく大変そうです。『ポプテピピック』はポプ子・ピピ美の2人セットでやることに意味があるので、別録りはありえませんから、この2人が揃うのは何カ月も先になるとか、逆に明日のこの時間を逃したら次はいつになるかわかりませんとか……。今回は1期にはなかった新型コロナウイルスの影響もあったので、さらに難しかったと思います。

――第1期の頃より『ポプテピピック』の知名度も上がっているので、オファーされた声優さんの反応も違いましたか?

青木:そうですね。収録前のご挨拶で「全部観ています」とか、「出たいと思っていました」と言っていただくことが増えました。第1期の時は「はあ……よくわかんないんですけど」みたいな反応ばかりでしたけど(笑)。

柴崎:事前にアドリブを考えてきてくださるキャストさんもいらっしゃるので、こちらとしては嬉しい限りです。

――そういえば、2人セットでオファーして、どちらがポプ子でどちらがピピ美を演じるのか、これはどういう理屈で決まっているのでしょうか? これも大川先生の采配ですか?

青木:そうですね。ただ、2人でやっていただくと「こっちがポプ子でこっちがピピ美だね」と誰もが感じるんです。

――男性声優でもそういう感覚があるのですか?

青木:不思議とありますね。どのペアも逆はあり得ないという共通認識が現場で生まれるんです。

――青木さんの一番印象的だったペアはどのペアですか?

青木:視聴者の方と同じかもしれないですけど、やっぱり第1話の江原正士さんと大塚芳忠さんペアや、中尾隆聖さんと若本規夫さんのペアなどは、この組み合わせもありなのかと衝撃的でした。現場のスタッフ一同爆笑しながらの収録でしたね。

――僕は第2期第1話の茅原実里さんと平野綾さんは感慨深かったです。放送後に茅原実里さんのYouTubeチャンネルで16年ぶりにお2人が親睦を深めていたのも含めて。

青木:僕もスタッフに教えてもらってその動画を観ました。『涼宮ハルヒの憂鬱』は当時何となく観ていた程度でしたが、そんな僕でもじーんとしました。こんなアニメから置き土産ができて良かったと思いましたね(笑)。

■放送情報
『ポプテピピック』
TOKYO MX:毎週土曜25:30~
BS11:毎週土曜25:30~
MBS:毎週火曜27:00~
BS日テレ:毎週火曜23:30~
HTB:毎週火曜25:55~
AT-X:毎週土曜25:30~
原作:大川ぶくぶ (竹書房『まんがライフWIN』)
企画・プロデュース:キングレコード
シリーズ構成・シリーズディレクター:青木純 (スペースネコカンパニー)
音響監督:鐘江徹
音響効果:小山恭正
音響制作:グロービジョン
音楽:吟 (BUSTED ROSE)
音楽制作:キングレコード
アニメーション制作:スペースネコカンパニー・神風動画
製作:キングレコード
©大川ぶくぶ/竹書房・キングレコード
公式サイト:http://hoshiiro.jp/

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