『テッパチ!』バディを失った町田啓太の喪失感 佐野勇斗の演技は辛い役こそ真骨頂を見せる

『テッパチ!』辛い役こそ光る佐野勇斗の演技

 自衛隊の広報活動の一環として、テレビのお見合い番組に出演することになった1班のメンバーと西健太(藤岡真威人)。南関東駐屯地の体育館に集まった20人の女性たちとの会話を通し、国生宙(町田啓太)や馬場良成(佐野勇斗)は、それぞれの距離感で女性たちとの親睦を深めていった。

『テッパチ!』第10話

 しかし、この和やかなシーンから一変。『テッパチ!』第10話は、放送開始25分以降、ずっと“しんどい”展開が続いた。

 事の発端は、お見合い番組の収録後に2人きりになった国生と桜間冬美(白石麻衣)の会話。馬場の自衛官としての姿を心配している桜間に対し、国生は「音楽隊を目指している馬場を本気で応援している」と告げた。このことがきっかけで、桜間も馬場の夢を応援するようになった。具体的には、音楽隊のオーディションを受けられるよう手配したのだ。

 このオーディションを受けることを決意した馬場は、班長・大木隆之(久保田悠来)をはじめとする先輩自衛官らの応援の元、練習に明け暮れていった。

『テッパチ!』第10話

 そして、迎えたオーディション当日。音大卒の志望者に囲まれ緊張する馬場の元に、お見合い番組でマッチングした相手・葵(矢作穂香)から電話がかかってきて、事態は一変する。葵からの電話の内容は「助けて」「私なんて生きている価値ない」「最後に声が聞きたかった」と相当落ち込んだ様子。直接的な言葉こそなかったが、馬場が電話を切ったのを最後に死んでしまうのではないかと心配するレベルに追い込まれている印象を受けた。

 しかしこの葵からの電話は、“馬場が大事なオーディションを投げ出して会いに来るか”を飲み仲間と賭けてしたものだったと判明する。心配した馬場が葵のいる場所へと到着すると、葵は馬場の良心をよそに高笑いしてみせた。さらには仲間とともに「音楽やりたくて自衛隊に入るって意味わかんなくない?」「筋トレしかしていないから頭の中空っぽなんじゃない?」「不当なことに税金使うな」と心無い言葉を浴びせる始末。これに傷ついた馬場は家族が不在の実家で、手当たり次第に酒と薬を飲んで自殺未遂を図ってしまう。

『テッパチ!』第10話

 出会ったばかりの葵が、馬場にとって大事なチャンスで電話してきたこと。その電話は葵の本心ではなく、馬場を弄んでのものだったこと。馬場がひどく傷つき命を落とそうとしたこと。あまりの急展開ぶりに「しんどい」と感じた視聴者も多いのではないだろうか。

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