『ちむどんどん』竜星涼の土下座を見るのも最後? 賢秀の“今度こそ”の改心を願う

『ちむどんどん』房子が出した最後の宿題

 房子は、暢子になぜ沖縄料理なのかと尋ねる。暢子が沖縄料理の店を出すことにしたのは、それが家族との思い出の味だから。子どもの頃、和彦(田中奏生)・史彦(戸次重幸)親子に沖縄そばを作り、美味しいと言ってもらった時の嬉しさが忘れられなかった。房子が言うところの「足元の泉」は暢子が料理人を目指した原点で、房子は「大きな店で高級な料理を作ることだけが料理人の幸せとは限らない」とうなずく。続く言葉にも含蓄があった。「その人が何をやりたいのかによりけり。ただ、何をやりたいのかわからないまま終わることが多い」のだと。イタリアンでの修行を経て、暢子は最終的に故郷の味に戻ってきた。それは自身の心を見つめて、足元の泉を掘った結果だった。

 暢子と房子の間には親子に近い感情もあるが、2人の関係は師匠と弟子が一番しっくりくる。最後まで房子は暢子を鍛えることを忘れなかった。暢子が三郎(片岡鶴太郎)、多江(長野里美)と来店してほしいと頼むと、房子は「始めるだけなら誰でもできる」と突き放し、「知らないお客様だけでお店が満席になったら」と条件を付けた。思えばフォンターナに来た日から、暢子は房子の出す宿題に懸命に挑み、クリアしてきた。そのことを思い起こさせるように、最後の晩餐に二ツ橋(髙嶋政伸)が出したのはナポリタン。最初の入店テストの日、暢子はイタリア料理ではないナポリタンを作った。自分で決めた道を進もうとする暢子へのエールのように見えた。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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