『呪術廻戦』に『SPY×FAMILY』も ジャンプ作品の2.5次元舞台化が止まらない理由

 舞台『呪術廻戦』の上演日が迫る中、つい先日第1クールの放送が終わったアニメ『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』(原作は『少年ジャンプ+』にて連載中)の舞台化も決定した。そのニュースとともに作品で最も人気の高いキャラクターであるアーニャ役を公募していたことでも話題となったが、今はとにかく「ジャンプ作品」の2.5次元舞台化が加速しているように感じる。

舞台『呪術廻戦』公式サイトより

 今年は他にも4月上旬から5月上旬にかけて上演されていた舞台『「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage 平和の象徴』があったばかりだし、7月下旬から8月中にかけて上演される舞台『呪術廻戦』の次には、9月から10月にかけて『舞台「鬼滅の刃」其ノ参 無限夢列車』が控えている。まさに2022年は『週刊少年ジャンプ』(集英社)の2.5次元祭りと言ってもいいだろう。

 ここ最近ビッグタイトルが次々に舞台化されているため、こういった動きが新しいものに思えてしまうが、実はかなり前からジャンプの作品は2.5次元化されてきているのだ。遡ること2001年に開催された「ジャンプフェスタ2002」の『ONE PIECE』スペクタクルステージが、おそらく始まりである。このとき、ステージには『ONE PIECE』のキャラクターを演じる俳優がそれぞれ登壇。それが2003年まで続くわけだが、その間にも2002年に『NARUTO-ナルト-』、2004年に『BLEACH』といった具合に、当時の看板作品が2.5次元化されていたのだ。とはいえ、これはあくまでイベントの一つのステージ的な規模感のもので、本格的な舞台として成功したのは2003年に上演されたミュージカル『テニスの王子様』だろう。

 「テニミュ」の愛称でお馴染みの本舞台は、漫画に特別詳しい人でなくても耳に入れたことがあるのではというくらい、社会現象にもなった。今年で15周年を迎える本シリーズは動員数が累計300万人以上の人気を誇る。そもそも本作の舞台化が成功した要因の一つは、ファンタジー系の作品が多い『週刊少年ジャンプ』の中での“実写化のしやすさ”だろう。特殊エフェクトを必要としないところは作りやすさではあるが、そうなってくると重要視されるのはキャラクターと俳優のシンクロ率。昨今、実写映画化が発表されるたびにファンの間では厳しく評価されるこの点は当時受け入れられたのだろうか。ミュージカル『テニスの王子様』のプロデュースを手掛けてきた野上祥子は「CINRA」でのインタビューにて、そもそものキャスティングの難しさを語っている(※)。というのも、当時は漫画のキャラクターを演じることへの理解不足、そして“演劇は売れてない人がやるもの”という先入観があったせいで、事務所側との交渉に難航したというのだ。しかし、公演が始まるとファンからも高く評価され、SNSのない時代の口コミによって客席は埋まっていく一方だったと言う。これに伴って、役者側もファンをガッカリさせないように「キャラクターを背負っている」という意識を高めたらしい。

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