木村拓哉が体現した“不撓不屈”の挑戦心 『トップガン』とも共鳴した『みらてん』最終回

木村拓哉が体現した“不撓不屈”

 木村拓哉が主演を務める連続ドラマ『未来への10カウント』(テレビ朝日系)が最終回を迎えた。

 インターハイ前日、松葉台高校ボクシング部が翌日の試合に向けて最後の練習に励む場面で物語は幕を閉じる。インターハイ出場を果たした水野(山田杏奈)と玉乃井(坂東龍汰)がどのような成績を残したのかではなく、この『未来への10カウント』が伝えたかったのは「いつ死んでもいい」と生きることを諦めてしまっていた桐沢祥吾(木村拓哉)が、ボクシング部の生徒たち、そしてボクシング部顧問であり後妻となる折原(満島ひかり)という“希望”との出会いによって再び光を取り戻していく熱き挑戦の物語である。

 睡眠時間3時間ーー再び開店した焼き鳥店と非常勤講師、さらにボクシング部のコーチとの両立に、さすがの桐沢も過労から倒れてしまう。リングの上、桐沢の脳裏にこだまするのはレフェリーの10カウント。そして走馬灯のようにフラッシュバックしたのは、ボクシング部で過ごした日々だった。

 死の淵から目を覚ました桐沢が身体を気遣う生徒たちを目の前に話すのは、「お前たちのおかげで俺は生きる希望ができた」「これからどんなことがあっても何度でも立ち上がってやるって、そう思ってる」という真っ直ぐな言葉だ。4カ月前、絶望に打ちひしがれていた桐沢とは喋り方も、放つオーラも、目の色もまったく違う。

 「不撓不屈」。ボクシング部の部室に掲げられていたその言葉が示すのは、どんな困難なことがあっても負けずに立ち上がること。その全てを“お前ら”、つまりは生徒たちと折原が教えてくれた。

 セミファイナルとなった前回、酔った勢いで折原は桐原にゼロ距離で「圭太(川原瑛都)のお父さんになってもらえませんか」と逆プロポーズ。その返事は10カ月後となるインターハイ前に桐原から告げられる。橋の上、なかなか切り出せない桐沢は、話題を折原の手作り弁当にすり替え。だが、その何気ない2人の雰囲気がすでに心が通じ合っていることを表している。折原のストレートパンチをガードし、桐沢がバックハグ(あすなろ抱き!)。言葉はいらないということだろう。焼き鳥屋で大将として働く桐沢を圭太は「お父さん」と呼び、折原と桐沢の薬指には指輪が光っていた。

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