『みらてん』『17才の帝国』でも好演 若手演技派としての立ち位置を確立させた山田杏奈

若手演技派の代表格となった山田杏奈

 現在、その独特の世界観や深みのある題材が注目されている『17才の帝国』(NHK総合)、そして『未来への10カウント』(テレビ朝日系)の両作品に出演する山田杏奈。近年映画の現場での躍進が印象的だったが、ドラマへの出演も数多い。

 もともとは2011年に開催された漫画雑誌『ちゃお』(小学館)の「ちゃおガールオーディション」でグランプリを取ったことがキャリアスタートのきっかけである山田。「ちゃおガールオーディション」とは、一般的な芸能オーディションとは少し違い、「芸能界入り」を目指す子よりも「純粋に『ちゃお』が好き」「漫画家さんに会いたい」「景品が欲しい」という動機で応募する子の方が多いという。当時10歳の山田も、グランプリの景品(ニンテンドー3DS)が欲しかったから参加したらしい。芸能事務所「アミューズ」への所属も決まり、2013年のドラマ『刑事のまなざし』(TBS系)への出演で女優デビューを果たした。

 そしてすぐに2年後、2015年発売の『ちゃお』付録DVDに収録の『12歳。』でドラマ初主演を務める。そこからはいくつものドラマへのゲスト出演を重ね、それに並行して2016年の『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』でスクリーンデビューを果した。本作は主人公・関大助(神木隆之介)がバス事故に遭い、あの世に行くも好きだった手塚ひろ美(森川葵)のことが忘れられず、天性を繰り返す物語。山田はその中で、大人になった手塚(宮沢りえ)の娘として登場した。そして程なくして2018年には『ミスミソウ』で主演に抜擢される。この作品が、おそらく山田のキャリアの転機の一つだろう。

『ミスミソウ』(c)押切蓮介/双葉社 (c)2017「ミスミソウ」製作委員会

 東京から田舎に転校してきた主人公が壮絶ないじめを受け、その果てに家族を焼き殺される。心が崩壊した彼女は、その犯人である少女たちを次々と惨殺していくという復讐劇だ。映画初主演作品にしてはかなりヘヴィな内容である。そのまま雪に溶けてしまいそうなほど透明感あふれる素肌と、素朴な雰囲気、まだあどけなさの残る顔立ちが印象的だったが、復讐パートで目つきの代わりようには度肝を抜かれたものである。この豹変っぷりから、その後は少し暗さを持っていたり、癖があったりする役柄を演じることが増えた。

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