『ちむどんどん』長野里美のほか、長谷川博己、松下洸平も 朝ドラには演劇人が欠かせない

朝ドラに欠かせない演劇人の存在

 前クールの『カムカムエヴリバディ』では、段田安則や松重豊らが主要な役どころを担っていたことが記憶に新しい。三人のヒロインが紡ぐ100年の物語において、段田は上白石萌音のエピソードを、現代に生きる侍・伴虚無蔵役の松重は川栄李奈のエピソードを、それぞれ盛り上げていたものである。間もなくBunkamura シアターコクーンにて開幕する『パンドラの鐘』に出演の玉置玲央は、『おかえりモネ』での好演が光った。非常に虚構性の高い“反・現代口語演劇”を展開する「柿喰う客」の看板俳優でもある彼だが、同作での地に足のついた演技は、踏んできた場数の多さを物語っていたのではないだろうか。

 さらに遡ると、『おちょやん』では東野絢香がヒロインの親友役に抜擢されていた。彼女は舞台俳優というわけではないものの、「イキウメ」や「ロ字ック」などの人気劇団の作品で重要なポジションを務めてきたのは知る人ぞ知るところ。ヒロインの杉咲花の相手として不足なしであった。そして、つい最近解散したばかりの「劇団子供鉅人」の面々が『なつぞら』に参戦したときには歓喜したものだし、同作には「ロロ」の板橋駿谷が主要キャラクターとして登場、34才にして高校生の役を濃厚な演技で魅せ、大きな話題を呼んだものだ。

 ここでは演劇人が朝ドラを“支えている”面に注目したが、そればかりではない。『スカーレット』で戸田恵梨香演じるヒロインの相手役を務めた松下洸平はもともと演劇フィールドで活躍していた俳優であり、同作での好演が現在の“オファーの絶えない俳優”への飛躍に繋がった。それに、『まんぷく』で安藤サクラの相手役を務めた長谷川博己は生粋の演劇畑出身者だ。物語的には彼が演じた萬平をヒロイン・福子が支えるかたちだったが、多くの登場人物が一気に入り乱れる同作において、長谷川はチームを率いる役割を間違いなく果たしていただろう。やはり朝ドラには、演劇人の存在が欠かせないのだ。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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