『ちむどんどん』山中崇が理想の上司を好演 4度目の朝ドラで名バイプレイヤーぶりを発揮

『ちむどんどん』山中崇が理想の上司を好演

 あまりに世間知らずなヒロイン・暢子(黒島結菜)は勤務先のイタリアンレストラン「アッラ・フォンターナ」のオーナー・房子(原田美枝子)から新聞社での雑用バイト・通称ボーヤをするよう言い渡される。まさに暢子がボーヤとして送り込まれた東洋新聞社で、青柳和彦(宮沢氷魚)はじめ様々な人たちとの出会いが待ち受けていた『ちむどんどん』(NHK総合)第8週。


 和彦の新聞社の上司で暢子の勤務先レストランの常連として登場するのが田良島甚内(山中崇)だ。若手記者のやりたいことにも耳を傾け、“やってみろ”と快く背中を押す。新聞の読み方さえいまいちわからないという暢子のことも決して小馬鹿にしたりせず、見捨てない。自身の知識をひけらかしたりすることなく、暢子の持ち前の明るさや素直さ、真面目なところに目を向け、“人柄は100点満点”だと房子にも太鼓判を押していた。

 山中は『ごちそうさん』、『半分、青い。』、『エール』に続き、本作が朝ドラ出演4作目。『ごちそうさん』では破天荒だけれども何だか憎めない文士・室井幸斎役を演じ強烈な印象を残した。そして、『半分、青い。』では裕子(清野菜名)の夫・浅葱洋二役を、『エール』では無精髭を生やした闇市のラーメン屋の店主・天野弘役を演じ、戦後の生き方に苦悩する智彦(奥野瑛太)を導いていく役割を担った。

 山中は誠実で柔和な役柄も、その対極にいる極悪非道な役柄も得意とするまさに変幻自在の名バイプレイヤー。彼がいるだけでその場に、その画に一気に説得力が増す。彼が持つ振り幅が遺憾無く発揮されたのが、『アバランチ』(カンテレ・フジテレビ系)での内閣情報調査室のエース・桐島役だろう。この桐島が、綾野剛演じる主人公・羽生率いる謎のアウトロー集団「アバランチ」の敵か味方か後半まで明かされず、緊張感漂う存在感を終始醸成し続けていた。そんな桐島が「アバランチ」の味方だったことが明かされる回では、オセロがひっくり返るかのような鮮やかさで、慎重かつ大胆に大どんでん返しを牽引していた。

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