『ちむどんどん』『恋マジ』で圧倒的な存在感 表現者・飯豊まりえは何色にも染まる

『ちむどんどん』飯豊まりえが輝く理由

 ある日の夕暮れ。オレンジ色に照らされた男女。

「キスして」「え? それはどういう意味?」「意味とかどうでもいい。キスして」

 これは、カンテレ・フジテレビ月10ドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』(以下、『恋マジ』)第4話の1シーン。飯豊まりえ演じる真山アリサと、コンビニ店員・内村克巳(岡山天音)のデート中のやりとりだ。その後、ドキッとする表情を見せるアリサに、克巳は戸惑いながらも、肩を抱き寄せ、2人は初めて唇を重ねる……。

 アリサは、コスパ命の恋愛主義者で、効率よく心もお金も満たしてくれる妻子持ちのおじさん・田辺良和(アキラ100%)と不倫をしている27歳。本作では、実年齢24歳の飯豊が、何の違和感もなく“恋愛の酸いも甘いも経験した大人の女性”を見事に演じている。特に前出のシーンは、彼女の俳優としての実力を感じる“表情”を堪能できるカットだった。

『恋なんて、本気でやってどうするの?』(c)カンテレ

 飯豊は今春『恋マジ』と並行して、2015年放送の『まれ』(NHK総合)以来となる朝の連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合)にも出演中。主人公・比嘉暢子(黒島結菜)の幼なじみ・青柳和彦(宮沢氷魚)の恋人で新聞記者の大野愛役として登場したばかりだ。今後、暢子にとって大切な友人になりながらも、和彦と暢子の関係が気になって……といった役どころだという。彼女が物語にどんなスパイスを与えてくれるのか、これから非常に楽しみであるし、「アリサ」と「愛」というまったく違う人物像を、飯豊がどう演じていくのかも注目したい。

 近年、こうした数多くの話題作に出演し、俳優として活躍する飯豊だが、筆者は、彼女を見るたび、いい意味での違和感や、小さなサプライズを受けたような感覚になることがある。「演技がうまい」と言ってしまえば簡単だが、それだけではない気がする。この感情はいったい何だろうか? その正体を探るべく、まずは、彼女の経歴を紐解いていきたい。

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