高橋文哉、研ぎ澄まされていく魅せる能力 “二つの登竜門”をくぐり抜けた筆頭俳優に

高橋文哉、研ぎ澄まされていく“魅せる”能力

 もちろんこれまでのライダー・戦隊シリーズ出身俳優となれば、演技にまだ多少荒削りな部分が見受けられたとしても、ルックスの良さやアクションもこなせる身体能力の高さでそれをカバーする“魅せる”能力。そして何よりも、歴史ある作品を引き継ぐということと、往年のファンや子どもたちが見ていることを意識して、そのプレッシャーに打ち勝つだけの力が要求されてきたといえよう。それだけに、走り抜けさえすれば以後俳優として大成するという図式が自ずと確立していったことも頷ける。

 昨年1月に放送された『夢中さ、きみに。』(MBS)で、中学時代にイケメンすぎるあまり大きな問題が生じ、平和を求めて“逆高校デビュー”を果たす暗黒系男子を演じた高橋。完全にオーラを封印しながら、後半の修学旅行のエピソードでうっかりそれを解き放ってしまうという、ユーモアとギャップ、二枚目演技の巧妙なマリアージュ。同世代の技巧派揃いの共演陣のなかで異なるトーンを保ち続け、キャラクター性の強い役柄をこなす。視聴者側が客観的に判断できる“魅せる”能力を、高橋は十分すぎるぐらい備えていると判断してもいいだろう。

 『悪女(わる)』は、難役に挑んで世間的な注目を集めた『最愛』とは対照的に“陽”であふれたドラマなだけに、いわゆる演技らしい演技とは異なるものが要求される場所。すなわちその技量が非常に大きく問われる作品といえよう。とりわけ同じ舞台設定のなかで登場人物や時間が目まぐるしく流れていき、ひとつひとつの些細な変化が作品を構成する重要なカギとなりうる。清掃作業員の衣装から新入社員のパリッとしたスーツに着替えた高橋が、そこでどんな顔を見せてくれるのか注目しておきたい。

■放送情報
『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:今田美桜、江口のりこ、鈴木伸之、高橋文哉、向井理ほか
原作:深見じゅん 『悪女(わる)』(講談社『BE・LOVE』)
脚本:後藤法子、松島瑠璃子
主題歌:J-JUN with XIA (JUNSU)「六等星」(First JB music)
演出:南雲聖一、内田秀実、山田信義
プロデューサー:諸田景子、小田玲奈、大塚英治、平井十和子
チーフプロデューサー:田中宏史
制作協力:ケイファクトリー
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト: https://www.ntv.co.jp/waru2022/

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