『ちむどんどん』川口春奈が自立心の高い“マドンナ”に 当たり役だった帰蝶との共通点も

『ちむどんどん』川口春奈がマドンナを好演

 比嘉兄妹の長女で小学校教師・良子役の川口春奈の好演ぶりが話題となっている朝ドラ『ちむどんどん』(NHK総合)。

 勉強が得意で高校時代から「マドンナ」と呼ばれ、勤務先の小学校ではファンクラブまで発足されるほどの人気教師。そんな良子は、老若男女問わず好感度の高い川口にまさに適役だ。

 家族思いでしっかり者の優等生・良子が母・優子(仲間由紀恵)に嘘をついて買ったチェック柄のワンピース姿はとてもかわいらしく、彼女に“魔法”をかける。束の間、要らぬ心配などせず、年頃の女性として相応の楽しみを享受し、青春を謳歌させる。少し高揚しているかのような良子の姿が眩しく、こちらまで嬉しくなってしまう。

 しかし、帰宅後、その魔法はたちまち消え失せ、残るのは罪悪感ばかり。勉強会だと偽りダンスパーティーに行ったことを悔い、「うち、恥ずかしい。貧しさを恥じた、自分が恥ずかしい」と漏らす姿はなんともいじらしくもあり、切なく涙ぐましかった。

 少し背伸びしたいことだってあるだろうに、その裏にどこか貧しさを恥じ憎む自分の気持ちがあることに行き当たり、そこからも目を背けられぬほどに真っ直ぐで自分自身をごまかさない、ごまかせないそんな良子は、とてつもなく人間臭くて素敵だ。正しくあろうとする姿がいたましくもあったが、良子は“本当の豊かさ”がどこにあり、何に宿るかよく知っている。そんな崇高さが感じられた。外見的な美しさだけでなく、内面的な豊かさが滲み出るところが彼女を「マドンナ」と言わしめる所以なのかもしれない。川口は運命に翻弄されながらも、自分を見失わず自身の足でしっかり立とうとする自立心の高いブレない信念のある役どころがよく似合う。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる