小松菜奈、阿部純子、笠松将、横浜流星らに可能性? 海外進出に期待の30歳以下の俳優陣

海外進出に期待の30歳以下の俳優陣

リング・ワンダリング
『リング・ワンダリング』(c)2021 リング・ワンダリング製作委員会

 『ヒート』のマイケル・マン監督が東京を舞台に制作した日米合作ドラマ『TOKYO VICE』に抜擢された笠松将も、気になる存在。それこそ渡辺謙、菊地凛子、山下智久といったおなじみの面々が集結したこの作品で、ヤクザの組員に扮している。

 笠松×ヤクザ役といえば、Netflixドラマ『全裸監督 シーズン2』の狂気にまみれた姿が記憶に新しいが、アグレッシブで凄みのある怪演は彼の得意技といえるのではないか。肉体改造にチャレンジし、理想の身体への妄執に取り憑かれたキャラクターを見事に具現化したドラマ『岸辺露伴は動かない』(NHK総合)等々、漫画の実写化にも対応するポテンシャルを秘めた俊英。破竹の勢いでドラマ・映画に出演しており、国内を問わずよりフィールドが広がっていく可能性は十分にあるのではないか。

『流浪の月』(c)2022「流浪の月」製作委員会

 そして、今や知らぬ者がいない絶対的な存在となった横浜流星。彼の気骨とポテンシャルを考えるに、海外の大作で躍動する姿を妄想してしまうファンは多いはず。空手で世界一になった身体能力は『君の瞳が問いかけている』や『DCU』(TBS系)でもアクセントとして非常に効いており、かと思えば盟友・藤井道人監督とのタッグ作『新聞記者』では素朴な就活生も演じてみせる。

 さらに『嘘喰い』のような漫画の実写化作品もこなせるとなれば、「日本の人気コンテンツがハリウッド実写化! 横浜流星が出演」なんてニュースが出たとしても何ら違和感はない。新作映画『流浪の月』では『パラサイト 半地下の家族』の撮影監督ホン・ギョンピョとも組んでおり、アジア圏での活躍もありえそう。残念ながら中止になってしまったが、舞台『巌流島』では宮本武蔵を演じる予定だった。時代劇でも輝くのは間違いなく、なんとも夢を抱かせる規格外のスターが海の向こうに飛び出していく日も近いのではないか。

『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』(c)2017 New Classics Media,Kadokawa Corporation,Emperor Motion Pictures,Shengkai Film

 最後の一人だが、『ONODA 一万夜を越えて』の仲野太賀や『ドライブ・マイ・カー』の三浦透子、『偶然と想像』の古川琴音、あるいは藤原季節といった面々も気になりつつ、30歳以下の括りであればやはり染谷将太は入れたいところ。

 チェン・カイコー監督の『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』や『サムライマラソン』『唐人街探偵 東京MISSION』等々経験豊富な彼は、『ヒミズ』で二階堂ふみと共にヴェネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)を受賞しており、今後もコンスタントにアジア圏の作品に出演していくことだろう。むしろ、「次はどんな作品に出演するのか?」くらいの安定感がある。

 最後になるが、ジム・ジャームッシュ監督と親交の深い永瀬正敏や、するりと海外作品に出演してしまうオダギリジョーの“後継者”が誰になるのかは個人的に注視していきたい部分だ。オダギリの監督作『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(NHK総合)で両者と組んでいる池松壮亮がその筆頭といえるが、国内外の映画作家と当然のように組むアート&カルチャーの担い手のさらなる出現も、待ち遠しい。

※河瀬直美の「瀬」は旧字体が正式表記

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる