小松菜奈、阿部純子、笠松将、横浜流星らに可能性? 海外進出に期待の30歳以下の俳優陣

海外進出に期待の30歳以下の俳優陣

 濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』が第94回アカデミー賞にて国際長編映画賞を受賞し、映画における日本と世界の距離がグッと近づきそうな期待が高まる昨今。

 LDH JAPANと韓国のTGCKパートナーズが新会社を設立し、マ・ドンソク主演の『犯罪都市』日本版を制作するニュースや、伊坂幸太郎の小説『マリアビートル』をブラッド・ピット主演で映画化した『ブレット・トレイン』(2022年公開)、内閣府による「外国映像作品ロケ誘致プロジェクト」の一環である『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』『唐人街探偵 東京MISSION』等々、コロナ禍で鈍化した印象はあれど様々な企画が進行しており、今後新たなフェーズに突入していきそうだ。

 俳優の海外進出においては、渡辺謙や浅野忠信、真田広之、菊地凛子といった面々に続く存在として、山下智久(『THE HEAD』『サイバー・ミッション』『The Man from Toronto(原題)』ほか)や新田真剣佑(『パシフィック・リム:アップライジング』『ONE PIECE』『Knights of the Zodiac(原題)』ほか)、水原希子(『アネット』ほか)、あるいは『柳川』『1921』の池松壮亮や『MINAMATAーミナマター』の青木柚のように、海外の監督とのコラボレーションも含めた次世代の台頭が楽しみなところ。

 そこで今回は、30歳以下の若手俳優に絞り、今後「初」あるいは「ますます」の海外進出がありそうな面々を5人ピックアップ。それぞれの作品と共に紹介する。なお、人選には筆者の願望が多分に入っているため、ご容赦いただければ幸いだ。

『ムーンライト・シャドウ』(c)2021映画『ムーンライト・シャドウ』製作委員会

 まずは、遠藤周作の名著を映画化した『沈黙‐サイレンス‐』でマーティン・スコセッシ監督の作品に出演した小松菜奈。彼女は吉本ばなな原作、エドモンド・ヨウ監督の『ムーンライト・シャドウ』でも主演を務めており、国際的に活躍する柿本ケンサク監督の『恋する寄生虫』、Netflixドラマ版『新聞記者』が世界配信中の藤井道人監督による『余命10年』ほか、近年の出演作をざっと見渡すだけでも大いなる可能性を感じさせる。

 何より彼女の強さは、バジェットにかかわらず作家性がしっかりと出た作品やクリエイターと組んできたこと。『溺れるナイフ』や『渇き。』『ディストラクション・ベイビーズ』等々、エッジーな作品もお手の物の小松は、どんなテイストの作品であってもしっかりと存在感を発揮してくれるであろうという意味で、実に死角がない。

『リング・ワンダリング』(c)2021 リング・ワンダリング製作委員会

 実績という意味では、今後ますます国際的な活躍が楽しみなのが阿部純子。『ソローキンの見た桜』『サムライマラソン』『ハチとパルマの物語』等々、海外とのコラボレーション作品に多数出演してきた彼女。デンマーク・ノルウェー・日本合作の『MISS OSAKA(原題)』では、全編英語劇にも挑戦。阿部自身、ニューヨーク大学への留学経験もあり、“言語の壁”を乗り越えられているであろう点は、大きなアドバンテージだ。

 『2つ目の窓』で河瀬直美監督、『海を駆ける』で深田晃司監督と、カンヌ国際映画祭受賞監督と組んでおり、『Daughters』ではファッションイベント演出家・映像作家の津田肇監督、『孤狼の血』では白石和彌監督とタッグ。こちらでは日岡(松坂桃李)と親密な関係になる重要な役どころを任されており、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』『おちょやん』にも出演。2022年には『リング・ワンダリング』ほか出演作品が怒涛の勢いで公開され、更なる躍進への期待が高まる。これまでの出演作品からわかるとおり、現代劇も時代劇も関係なく役に生命を与えてきた彼女の動向に注目だ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる