綾野剛×横浜流星が語り合う、叶えられるべくして叶った初共演 2人にとっての“挑戦”とは

綾野剛×横浜流星が語る『新聞記者』の初共演

 2019年6月に公開され、第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞など6部門を受賞し、大きな話題を集めた映画『新聞記者』。映画版の監督でもある藤井道人が、新たにNetflixシリーズとして作り上げた『新聞記者』の配信がスタートし、映画版とはまた違った厚みと広がりのあるストーリーで注目を集めている。

 映画『ヤクザと家族 The Family』、ドラマ『アバランチ』(カンテレ・フジテレビ系)で藤井監督と組んだ綾野剛が、組織のなかで追い詰められていく若手官僚の村上真一を演じ、藤井監督とは『青の帰り道』から作品を重ねている横浜流星が、映画版には登場しなかった一般市民の若者・木下亮を演じている。

 これが初共演となった綾野と横浜が対談。実は『新聞記者』の撮影以前からプライベートで出会っていたというふたりが、互いの印象や、実際に現場で対峙したときのことを語った。さらに「役を作っていくとは、恥を知っていくことから始まり、それを凌駕していくための日々の努力」と静かに語る綾野を、「剛さんのような生き方ができるようになりたい」という横浜が熱く見つめていた。(望月ふみ)

初対面は1年前


――おふたりは今回が初共演ですが、ともに藤井監督とはお仕事されていますね。

綾野剛(以下、綾野):芝居の場では初共演ですが、プライベートではすでにお会いしていたんです。『新聞記者』の撮影の1年前くらいかな。その時にはこのドラマのことも何も決まっていませんでした。

――では今回、ご一緒できるとなって。

綾野:素直に嬉しかったですね。

横浜流星(以下、横浜):僕もすごく嬉しかったです。プライベートでお会いしたときに、すごくたくさんお話しをさせてもらえて、本当に熱い方だと思っていました。

綾野:流星くんのことは、それまでにも作品や番宣などで見ていて、一見ポーカーフェイスですが、心の中にとても熱いものを内包している印象でした。もともとトップアスリートで、現在もアスリート精神が高く、画面からでも伝わってくる匂いがありました。彼を見てすぐ、一緒にお仕事したいとずっと思っていましたし、同時に、無理に慌てなくても、絶対に互いに引き寄せられて繋がるだろうという直感みたいなものがありました。初めてお会いした時も、何の違和感もなく、もちろん藤井監督のご縁もあってですが、久々に会ったような感覚がありました。

横浜:僕にとっては剛さんは、自分が観ていた映画にいつもいらして、高いところにいる人だと思っていました。なのでこんなにも早く一緒にお芝居させていただけるとは思っていませんでした。だからこそ最初にプライベートでお会いできた時には、すごく幸せな時間だと感じましたし、剛さんが受け入れてくださって、初めてじゃない空気感を作ってくださったのを感じました。僕は、結構人と距離感を作ってしまうのですが、不思議と剛さんにはそれがなかったんです。剛さんの懐が大きくて、そこに入れてもらっているような。すごく縁を感じましたし、その縁を大事にしたいと思いました。

――綾野さんにはご自身や仕事にストイックなイメージがありますが、出会った人には懐を大きく開いてくれる方なんですね。

横浜:すごく優しいですし、ちゃんと一人一人のことを見てくれるんです。自分が聞いたことに対して、さらに上乗せして返してくださるし、大先輩ですけど、同じ目線に立ってくださっているのを感じます。僕がこれから歳を取っていって、後輩ができていった時も、そういう生き方ができたらなと剛さんの姿を見て思います。

初共演は叶えられるべくして叶ったもの

――『新聞記者』でのおふたりの共演シーンは終盤のごくわずかなものでしたが、深く印象に残りました。実際に対峙されていかがでしたか。

綾野:最高でした。撮影中も連絡を取り合っていましたし、役を通して立つ瞬間よりもはるかに長い時間を過ごしてしまっていたわけですが、「そうそう、この匂いをお互い嗅ぎつけて出会ったんだよな」と改めて思いました。自分たちが出会わなきゃいけなかったわけが、現場で対面したときに結実しました。大げさに聞こえるかもしれませんが、感動がありました。

横浜:まず率直に嬉しかったですし、亮としては村上は憎むべき立ち位置にいる人なんですけど、村上を見た瞬間に、何ていうんですかね、よく分からない感情になってしまったんです。そうした空気、村上がまとっているものを、剛さんが僕にすべて伝えてくれたからこそ、“よく分からない”という感情になったのだと思います。不思議な気持ちでした。

綾野:流星くんも僕も、常に誰かに観られることを前提に作品の中で存在しているわけですが、自分がこの『新聞記者』において、フィジカルの面も含め、相当過酷な環境に自分を置いて律した時間は、彼、亮さんに見てもらうためだけにあったんだなと。視聴者の方に、僕から何かが伝わるとか感じ取っていただくよりも、その時の僕を見た亮さんの表情からたくさんのことを受け取ってほしいと思いました。極論ですし、ある種傲慢かもしれませんが、なんでここまで頑張ってたんだろうとふと考えると、やはりあのシーンのため、流星くんに見てもらう姿がだらしなくてはいけないという覚書が、脚本を読んだときに、きっと自分の中であったんだろうと。そういったことも含めて、これが共演なんだろうなと。流星くんのおかげで、村上はあそこまでになったのだと思います。

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