4兄妹のキャラクターや演出まで 『ちむどんどん』を楽しむヒントは『若草物語』にあり?

『若草物語』に重なる『ちむどんどん』

 ついに4月11日から放送開始されたNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』。前回の『カムカムエヴリバディ』の余韻が残りつつ、朝からテレビに映される沖縄の美しい海や景色に癒される方も多いのではないだろうか。

 『ちむどんどん』は1964年の沖縄本島北部やんばる地域に住む、主人公の比嘉暢子(稲垣来泉/黒島結菜)、賢秀(浅川大治/竜星涼)、良子(土屋希乃/川口春奈)、歌子(布施愛織/上白石萌歌)の4兄妹が歩む50年間を描く物語。暢子は美味しい物を食べると“ちむどんどん”するのが可愛らしい、朗らかな性格が印象的だ。長男の賢秀は大胆で自由な性格で、飼っている豚を愛でまくる気の良い兄。一方、長女の良子は兄とは違って成績優秀の優等生キャラ。末っ子の歌子は病弱でシャイ。なんとなく、これらのキャラクター設定を振り返って彷彿とさせられるのが、ルイーザ・メイ・オルコットの小説『若草物語』である。

 『若草物語』は、2019年に公開されアカデミー賞作品賞にもノミネートされた『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が記憶に新しく、それ以前に何度も映画化、ドラマ化されてきた題材だ。南北戦争時代を舞台に、それぞれ個性的な4姉妹の日々を描いた本作。『ちむどんどん』に重なるのは、長女、次女、三女の人物設定である。勉強ができて成績優秀な長女・良子は将来教師になることを目指している。一方『若草物語』の長女メグもまた同じように姉妹の中でしっかりもののポジションで、のちに家庭教師になるのだ。そして『若草物語』の実質的な主人公は、次女のジョー。活発で、自分の好きな道(作家)を目指すキャラクターであり、これもまた『ちむどんどん』のヒロイン暢子を彷彿とさせる。なにより、三女の歌子の病弱&音楽好き設定は『若草物語』のベスそのものと言っても過言ではない。

 では、長男の賢秀は『若草物語』ではどの立ち位置になるのか。長女メグとは重ならない彼のパーソナリティは、末っ子のエイミーとも少し違う。もしかすると、『第三若草物語』に登場するダンが彼に一番近いかもしれない。『第三若草物語』は、『若草物語』シリーズの3作目にあたり、これまでの原題『Little Women』に変わって『Little Men』になっていることから、男の子が主人公になっている作品。そこに登場するダンは、本作の主人公ナットが出会う無法者の少年。彼らは一作目の主人公・ジョーがのちに結婚し、夫と経営するプラムフィールドという学園にやってくるのだが、ダンは荒々しい性格のトラブルメイカーだった。しかし、どんなに横暴に振る舞っても変わらないジョーの愛情に感謝するようになり、徐々に改心していく。そして大人になると、子供の頃のようにまた放浪する旅人になるのだ。

 賢秀はすでに自由奔放でトラブルメイカーな一面を覗かせており、公式サイトには「家族のためさまざまな挑戦をするが、かえって迷惑をかけることが多い」と書かれている。比嘉家自体も、『若草物語』と同じで決して裕福ではない家庭であり、メグやジョーらが家計を助けたように良子や暢子らが家のためにお金を稼ごうとする流れになって、賢秀はそういう部分で迷惑をかけてしまうのかもしれない。

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