浜辺美波、『約束のネバーランド』で見せた芸歴10年目の進化 実写作品で重宝される適応力

浜辺美波、『約ネバ』で評価された適応力

 そうした子役たちを率いる座長としての務めを果たした浜辺もまた、10歳で挑んだ「東宝シンデレラ」オーディションを機にキャリアをスタートさせ、多くの子役たちと同じように登場人物の幼少期役であったり娘役であったりを経験したのち、同世代の俳優たちとの共演で一枚上手の演技を披露し頭角をあらわしてきた。世間的に注目を集めたのが2015年の『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の実写ドラマであり、放送当時15歳であったためいわゆる“天才子役”に括られることはなかったとはいえ、彼女自身もそれに足るだけの“ひと握り”の逸材であったことは、それ以前の出演作を観れば明らかである。

 そこから目覚ましいまでの活躍を見せるようになった最大の要因は、作品への適応力の高さに他ならないのではないだろうか。前述の『あの花』におけるめんま役をはじめ、『咲-Saki-』での主人公・宮永咲役。そして現時点での浜辺の最大の当たり役とも言える『賭ケグルイ』シリーズにおける蛇喰夢子役も然り。漫画やアニメなど、既存のビジュアルとイメージがはっきりと存在するキャラクターを徹底的に再現し、それに近付けようとする演技の作り込みは、一見ゴールがあるからこそ簡単に思え、逆に非常に困難なものでもある。例えばそこに、『センセイ君主』の佐丸役のようにコメディエンヌとしての按配が試されるなど他のファクターも加われば尚更だ。

 『約束のネバーランド』におけるエマという役柄は、明朗快活な少女であり非常に伸び伸びとした演技ができる面では浜辺の得意分野であろう。それでも役柄の設定年齢が15歳に変わったことで、より一層大人と子供との間を往来しなくてはならない点で難易度が上がる。北川景子演じるイザベラや渡辺直美演じるクローネとの対峙では時に子供らしさを見せ、終盤では成長を感じさせなくてはならない。また同い年の設定である板垣と城の前では少女らしく、そして他の子役たちの前では頼れる年長者であり続ける。キャリア10年という節目、10代から20代への変化のタイミングに重なったこの役柄は、浜辺美波という俳優の次なる一手をはかる上で見逃せないものであった。

■放送情報
『約束のネバーランド』
フジテレビ系『土曜プレミアム』にて、4月2日(土)21:00~23:25放送
出演:浜辺美波、城桧吏、板垣李光人、渡辺直美、北川景子ほか
原作:『約束のネバーランド』白井カイウ・出水ぽすか(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:平川雄一朗
脚本:後藤法子
配給:東宝
(c)白井カイウ・出水ぽすか/集英社 (c)2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる