『ザ・バットマン』北米で首位陥落 『バーフバリ』監督最新作が初登場3位の大ヒット

『ザ・バットマン』北米で首位陥落

 3月25日~27日の北米興行収入ランキングは、注目しておきたいトピックがいつになく多い結果となった。『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の首位陥落、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の大台突破、そして話題の最新作だ。

 まず、『ザ・バットマン』から首位の座を奪ったのは、サンドラ・ブロック&チャニング・テイタム主演のロマンティック・アクションコメディ映画『ザ・ロストシティ』。3日間で31万ドルを稼ぎ出し、初登場で第1位に輝いた。

 パラマウント・ピクチャーズによる本作は、コミック映画やシリーズ作品が優勢になりがちな昨今、完全オリジナル脚本でヒットをつかんだ一作。『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』(1984年)や『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981年)を思わせる作風で、Rotten Tomatoesでは観客スコア85%という人気ぶりだ。

 ブロック演じるロレッタ・セージは、“恋愛小説の女王”として知られる小説家。最新作のPRツアー中、彼女は億万長者のアビゲイル・フェアファックスによって南の島に誘拐されてしまう。ロレッタの小説を読んだアビゲイルは、失われた古代都市の宝物のありかを彼女が知っていると考えたのだ。誘拐を知った表紙モデルのアラン・キャプリズン(チャニング・テイタム)は島に向かい、ロレッタを救出しようとする。

 本作の特徴は、週末の3日間に劇場を訪れた客層にある。コロナ禍のハリウッドでは若い男性客が客層の中心となる傾向にあったが、『ザ・ロストシティ』では観客の60%近くが女性、50%近くが35歳以上。ラブコメというジャンル、ブロック&テイタムの共演のほか、『ハリー・ポッター』シリーズでおなじみのダニエル・ラドクリフが悪役を演じ、ブラッド・ピットがカメオ出演するという仕掛けもプラスに作用したとみられる。日本公開は6月24日と約3カ月遅れだが、なんとか夏まで覚えておきたい一作である。

 続いて、脅威の大ヒット作として息の長いランクインを続ける『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、とうとう15週目にして北米興収8億ドルを突破。この記録を達成したのは、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)に続いて史上3本目となる。全世界累計興収は18億8858万ドルとなった。今週は第8位だが、同じくソニー製作のマーベル映画『モービウス』が4月1日に日米同時公開となる中、どこまでの粘りを見せるかもポイントだ。

THE BATMAN-ザ・バットマン-
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(c)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (c)DC

 また、『ザ・バットマン』は4週目にして首位こそ陥落したものの、前週比−44.2%という相変わらず低めの下落率をキープして第2位に登場。北米興収3億3195万ドル、海外興収3億4090万ドルで、世界累計興収6億7285万ドルという充実した成績ぶりだ。一方、前週2位で日本でも話題となった『劇場版 呪術廻戦 0』は第5位にランクダウン。興収的にも前週比−69.1%という大幅下落だが、これは本作に限らず多くのコミック映画がそうであるように、初動成績がファン層に強く支えられていたことを示している。

 そのほか今週注目しておきたい初登場作品には、第3位のインド映画『RRR(原題)』と、トップ10こそ逃したが驚異的ヒットとなっている、第13位の『Everything Everywhere All at Once(原題)』がある。

 『バーフバリ』2部作で知られるS・S・ラージャマウリ監督の最新作『RRR』は、イギリスによるインド統治と、都市ハイデラバードを支配する君主にそれぞれ反旗を翻す革命家ふたりの物語。史実を背景にしながら架空の革命家を描くアクション大作で、約3時間の上映時間ゆえにチケット料金は22.54ドルとなった。

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