白石聖、最後の(?)高校生役で示した実力 『しもべえ』を経て新たなステップへ

白石聖、『しもべえ』で示した実力 

 安田顕が主演を務める『しもべえ』(NHK総合)が3月26日に最終回を迎えた。北京オリンピック放送の影響を受け、途中オンエアが3週間休みとなっていたこともあってか、ラストは第7話と第8話を一挙に放送する特別プログラムに。謎のおじさん・しもべえ(安田顕)の正体に、高校生ユリナ(白石聖)が迫る最終章だ。

 『しもべえ』は『工業哀歌バレーボーイズ』を代表作に持つ村田ひろゆきの同名漫画を原作としており、作風はコメディと青春ドラマのミックス。そのタイトルが示す通り、第1話の「こんな青春ドラマが今まであったでしょうか。」に始まり、「いまシャワー中なんですけど! なぜ空手対決?」「もはや説明不可能な青春ドラマ。見るしかない!」「学園祭だ! 出演者も変なテンション最高潮!」「シリアス医療ドラマになりそうですがご心配なくw」とかなりコメディに寄せたNHKとしては攻めたドラマでありながらも、最終章は涙なしには観られないまさかの感動青春パートへと突入していく。原作未読の筆者はその予想だにしなかった結末に強く心を打たれてしまった。全8話と観やすいので(最終章の第7話からでも十分楽しく観られる)、再放送なり、オンデマンドなりでの視聴をお勧めする。

 そんなドラマにおけるコメディ要素の大部分を担っているのが、安田顕が演じるしもべえの存在。ヤンキーのぎこちない笑顔のような、なんとも形容しがたい顔芸(怪演と言ってもいい)が炸裂する『しもべえ』の主演は安田顕に変わりはないのだが、もう一人の主演と言っても過言ではない量で出演していたのがヒロイン役の白石聖だ。

 白石といえば、これまで多くの作品で演じてきた高校生役が彼女を形づけるイメージの一つにある。約700人の中からオーディションでヒロインに選ばれた『I”s』(BSスカパー!)の葦月伊織役を筆頭に、王子たちのバトルのきっかけを作るヒロインを演じた『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)、さらに昨年公開の映画『胸が鳴るのは君のせい』まで、2016年の女優デビューから長年にわたって、高校生役を演じ続けてきている。もちろん、連続ドラマ初主演を務めた『恐怖新聞』(東海テレビ・フジテレビ系)や、『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(読売テレビ・日本テレビ系)、『だから私は推しました』(NHK総合)など、例外はあるものの(『恐怖新聞』は大学生、『シロクロ』はテレビ記者、『だから私は推しました』は地下アイドル)、白石自身もターニングポイントの作品にあげる『絶対正義』(東海テレビ・フジテレビ系)も、主演を務めた特撮ドラマ『ガールガンレディ』(MBS・TBS系)も高校生役であった(さらに言えば、バラエティ番組『スクール革命』(日本テレビ系)でも高校生として制服を身に纏っている)。

 白石は現在23歳。『しもべえ』のユリナ役について、「個人的に毎回女子高生の役がくる度にこれが最後なんじゃないかなと思いながらやらせていただいています」(白石聖が称える安田顕の“曲線”とは? 不思議な青春ドラマ『しもべえ』の撮影を振り返る)と語っていた白石だが、それほどまでに高校生役のオファーが殺到するのは、“女子高生”というその枠組みの中で、作品ごとに様々な表情を見せてくれるからだろう。王道とも言えるふんわりとした雰囲気の『I”s』から、冷たい眼差しで異彩を放った『絶対正義』まで。『しもべえ』もまた白石聖における、新たな高校生像を見せてくれたドラマだった。

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