若手女優戦国時代!? 個性で頭角を現わす、白石聖、山本舞香、小芝風花

個性で頭角を現わす若手女優たち

 2010年代、「アイドル戦国時代」と呼ばれたこの時期には、AKB48グループやハロプロを筆頭に数多くのアイドルグループが誕生しては消えていった。現在、あの時と同じように注目の若手女優が数多く輩出され、まさに「若手女優戦国時代」と言っても過言ではない状況が起きている。20代前半の女優たちはそれぞれが強みになる個性を武器に、なんとか埋もれないようにしのぎを削る。

 出演作品からみた場合に、NHK連続テレビ小説「朝ドラ」は、ほぼ毎日放送される上に視聴率20%前後と多くの人が観ていることから、「朝ドラ出身女優」として顔を覚えてもらいやすい。また、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)などの学園ドラマは特定のクラスの中でストーリーが展開するため、「3年A組出身」など、クラスの名前にちなんで覚えてもらうことも可能だろう。かつての『3年B組金八先生』シリーズ(TBS系)からくる「金八出身」のようなものだ。

 だが、これが通用するのはドラマが話題になってせいぜい数年だろう。日々新しいドラマが放送され時が経つうちに、視聴者の記憶はどんどん塗り替えられていってしまう。そんな中で生き残るための手段のひとつとして、より強烈な個性を確立した女優もいる。

ホラーで頭角を現す “悲劇のヒロイン系女優”白石聖

『恐怖新聞』主演の白石聖 (c)東海テレビ

 2019年に「オトナの土ドラ」枠で放送された『絶対正義』(東海テレビ・フジテレビ系)は、主人公の高規範子(山口紗弥加)が正義モンスターとでもいうべき強烈なキャラクターで世の中の規範を振りかざし、親友を追い詰め人生を狂わせていく心理サスペンスである。この作品で白石聖は、主人公の範子の高校時代と娘の律子の二役を演じた。整った顔立ちであり、どこか大人しそうな雰囲気を持つ白石が振り切った演技で見せる狂気的な姿は、当時のSNSでも評判を集める。そこから立て続けに『だから私は推しました』(NHK総合)、『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(読売テレビ・日本テレビ系)とホラーやサスペンス要素の強い役に抜擢された。そして2020年には、つのだじろう原作の王道ホラー『恐怖新聞』(東海テレビ・フジテレビ系)で「オトナの土ドラ」枠に主演として帰ってくる。キラキラとした瞳にぽってりとした唇が魅力の白石は、自身の持つ清廉潔白なイメージを残しつつも役を見事にこなし、追い詰められ恐怖に慄く姿さえも美しい。白石はこうして、ホラー系女優のイメージを確固たるものにした。

令和のヤンチャ娘 “ヤンキー系女優”山本舞香

『とんかつDJアゲ太郎』出演の山本舞香 (c)2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会

 これまで様々な役をこなしてきた山本舞香だが、やはりハマリ役といえば『チア☆ダン』(TBS系)のヤンキー高校生・柴田茉希や、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018年)のコギャル・伊藤芹香、『今日から俺は!!劇場版』(2020年)のヤンキー娘・森川涼子ではないだろうか。山本は、明るめに染めた髪がよく似合い、アーモンド型の大きな瞳に宿る強い目力や、ニッと笑ったときの美しい口元が印象的だ。こうした要素の一つひとつがまた、ヤンキーキャラにマッチしているのだろう。他にもツッパリとまではいかないが、『恋は雨上がりのように』(2018年)で気の強い少女を演じ、山本と言えば歯に衣着せぬ物言いが似合うキャラクターであることを確立している。キツそうな見た目に相容れず、幼さの残る声色にどこか可愛らしさや親近感を感じ、思わず応援したくなる存在だ。

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