『カムカムエヴリバディ』新川優愛の声色に伏線はあった? 裏で進行していた小夜子の恋

『カムカム』新川優愛の声色に伏線はあった?

 NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で、ひなた(川栄李奈)の友達・小夜子(新川優愛)が吉之丞(徳永ゆうき)と結婚することになった。そのことを知ったひなたの弟・桃太郎(青木柚)は意気消沈する。桃太郎は子どもの頃から、小夜子に恋心を抱いていたからだ。

 しかしこれまでの回を振り返ってみると、小夜子にとって桃太郎はいつまで経っても“桃ちゃん”でしかないと分かる。新川の演技は、小夜子に桃太郎がどう見えているのかを教えてくれる。

 桃太郎と接する小夜子はいつだって優しい。高校生になった小夜子が初めて登場した第71話では、「勉強を教えてほしい」とやってきた桃太郎(野崎春)を優しく受け入れる。新川は上品で柔和な雰囲気をまとっており、溌剌としたひなたとは異なる“お姉さん像”を体現している。ちょっとおませな桃太郎が惹かれるのも納得だ。

 桃太郎が高校生になり、小夜子と桃太郎は教師と生徒の関係になる。商店街では「小夜ちゃん」「桃ちゃん」と呼び合う仲であっても学校では別。第87話で桃太郎が「小夜ちゃん」と呼ぶと、新川は少しだけ眉をひそめて、黙って首を横に振った。言葉を発して言い直させるのではなく、何も言わずに諭す姿に桃太郎への信頼が感じられる。ただしそれは、教師として、なのだが。

 そんな中、第88話の新川の演技で気づいたことがある。大月家にやってきた小夜子は、大月家のテレビを修理していた吉之丞と会う。「あれ? 赤螺くん」の声の響きは明るく、同級生との再会を喜んでいることがうかがえる。藤井家のクーラーの調子が悪いと聞き、吉之丞が「見に行ったろか?」と言うと、小夜子は明るい声で「ホンマ? お母さん喜ぶわ」と嬉しそうに言った。この頃はまだ、お互いの関係は久しぶりに再会した同級生だったと思う。けれど、「ホンマ?」と喜ぶ声は普段よりも心が弾んでいるように聞こえ、少なくとも「桃ちゃん、どないしたん?」と野球観戦に熱中している桃太郎にかけた優しい声の響きとは違うものだった。

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