『カムカムエヴリバディ』が届ける甘酸っぱい恋模様 青木柚演じる桃太郎は策略家?
「この本を読んでと君が言ったから 4月20日は小夜子記念日」
そうしてニヤける顔を隠さず、俵万智の書籍『サラダ記念日』を胸に抱き締めたひなた(川栄李奈)の弟・桃太郎(青木柚)。彼は、初恋の人・小夜子(新川優愛)が勤める高校に入学。姉の親友と弟という関係から、先生と生徒として話す機会を格段に増やすことに成功した。ひなたと五十嵐(本郷奏多)、榊原(平埜生成)とすみれ(安達祐実)など、さまざまな恋物語が交錯する『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)の中でも、ひと際甘酸っぱいのが桃太郎の恋だ。
桃太郎はその名をテレビ時代劇の大スター・二代目桃山剣之介(尾上菊之助)からもらったにもかかわらず、時代劇ではなく高校野球に影響を受け、野球に夢中な青年に成長。自分も甲子園に出場しようと、野球の強豪校である京都西陣高校に進学する。野球に夢中といえば、桃太郎の祖父にあたる稔(松村北斗)の弟・勇(村上虹郎)を彷彿とさせる。勇は安子(上白石萌音)に想いを寄せていたが、安子の前でスマートに立ち振る舞う稔とは異なり、どこか不器用で、安子に意地悪をしてしまったり、からかったりしてしまい、安子となかなか距離を縮められずにいた。だが、桃太郎は違う。彼はちょっとした策略家ではないだろうか。
第78話で、野球の練習に行こうとする幼い桃太郎は錠一郎に「今日の宿題はやったんか?」と聞かれ、「明後日の分までやったわ!」と元気に答えた。野球の練習に最大限の時間を割くために、宿題を早めに終わらせるどころか、数日先までやったのだ。計画性が高い。こんな性格の桃太郎なら、「想い人の小夜ちゃんがいる」かつ、「野球が強く、甲子園出場が狙える」という“最適解”といえる京都西陣高校へ進学したのは偶然ではないだろう。それに、好きな人にはいいところを見せたいものだ。だから、野球だけ頑張っていてはダメ。桃太郎ならそう考え、勉学にも励む気がする。第87話で小夜子から『サラダ記念日』を借りた時、「国語が苦手で……」と切り出した桃太郎に小夜子は「そう?」と不思議そうな顔をした。桃太郎は、少なくとも小夜子が担当する国語では、それなりの成績をキープしているのだ。