『ムチャブリ!』夏帆演じるワーママの苦悩と描かれた希望 大牙が雛子に突然のキスも
子会社社長・高梨雛子(高畑充希)を抱き寄せ「笑ってる方がいいです。(中略)俺、あなたのこと嫌いって訳じゃないです」と何やら回りくどいことを精一杯言い残して去る若手部下・大牙涼(志尊淳)のあまりにぎこちない様子から幕開けした『ムチャブリ! わたしが社⻑になるなんて』(日本テレビ系)第7話。そんなあまりに不器用すぎる大牙が雛子に突然キスをする怒涛のラストが描かれた。
てっきり柚(片山友希)に片思いをしていると思っていた大牙も、てっきり凛々子(優香)と深い仲に違いないと思い込んでいた浅海社長(松田翔太)も、実のところ他の誰でもない雛子のことが好きだなんて……せっかくのこの奇跡的なシチュエーションを把握できていない当の本人・雛子のことをもったいなくも惜しくも思うが、正確に把握できていないからこそ雛子は私生活にも仕事にも支障を来さず通常運転できているとも言える。もう次週、大牙からの不意打ちキスにより仕事もそぞろな雛子の様子が今から想像できすぎる。
さて、今話では雛子の親友で専業主婦から短期の契約社員として雛子の会社で働くことになった知美(夏帆)の苦悩が描かれた。その働きぶりが認められ、正社員に登用されるも、これまでのビハインドを必死で巻き返そうと思ってか、さらに責任感の強い彼女の性格も相まって仕事を抱え込んでしまい周囲に簡単にはヘルプを出せない。パートにもなかなか採用されないと以前雛子にこぼしていた知美からすれば、この千載一遇のチャンスをモノにしたいと思うのは当然だろうし、「外に出て働くって達成感がある」と口にしていた通り、せっかく寄せられた期待にそれを上回って応えたいのだろう。職場でのお弁当タイムにも、息子の小学校の音楽会で使うスカーフを縫い付ける姿に、彼女の切羽詰まった様子が滲む。
妻の正社員登用を喜んでくれた夫も、急に家事や子育てをしようとしたとて、もちろんなかなか上手くいかない。知美からすれば雑にも危なっかしくも見え、自分でやった方が早いと感じられついつい後で自分でやり直してしまう。妻からすれば「手伝うって口ばっかりで、言ったことしかやらない。気が付かないし意識が向いていない」「子育てと言っても、子どもと遊んだり、調子の良い時しか見てくれない」となるし、夫からすれば「手伝いたいと思っているけれど、やったらやったで嫌な顔される」「自分のルールがあって結局やり直すじゃん」となる。この夫婦のやりとりには身をつまされる思いがした人も少なくなかったのではないだろうか。
結婚して母親になり味わったことのない幸せをいっぱい知ることができている“人生第2章”にいる知美が「第1章の私は死んじゃったのかなって。頑張って勉強して大学に入って就職して、その私と今の私が上手く繋がってない気がして……」というのもまた切実な言葉で、どうしたって現代の日本では女性側にだけこの思いを強いてしまっていることが多いのも否めない。