高畑充希、『ムチャブリ！』で“愛され”から共感へ　30代を迎えた今だからこそできる演技

　日本テレビ系水曜ドラマ『ムチャブリ！ わたしが社⻑になるなんて』で主演を務める高畑充希。今作ではカリスマ上司や生意気な部下に振り回されるヒロインを演じ、早くも名コメディエンヌぶりを発揮している。ここ最近の高畑の活躍を振り返り、30代を迎えての『ムチャブリ！』での演技について注目してみたい。

　今や日本を代表するコメディエンヌとして唯一無二の存在感を見せている高畑充希。舞台で培った確かな演技力で数々の作品を彩り、ここ数年は、『過保護のカホコ』（日本テレビ系）、『忘却のサチコ』（テレビ東京系）、『同期のサクラ』（日本テレビ系）など、ピュア過ぎて真っすぐな変人役が多いイメージ。この、高畑曰く“変人三部作”で共通しているのは、周りが高畑演じるヒロインに振り回され、そして影響されるということ。忖度がない分、ピュアを盾に普遍的な社会や人間関係の疑問をストレートに投げかけていく、その演技を嫌味なくできるのが高畑の特異なところだ。

　昨年のドラマ『にじいろカルテ』（テレビ朝日系）では、病を隠して田舎の診療所で赴任してきた医師役に。感情表現が下手なところは、傾向としてこれまでと似た役なのかもしれない。ただ、田舎の人たちによって心を解放していくという流れは、これまでの猪突猛進で周りを振り回すキャラクターからの変化を感じさせる。昔から得意としている自然な演技と、ここ数年演じてきた変わったキャラクターの面影を融合させようとチャレンジした役だったように思う。

　『ムチャブリ！』では、高畑演じる雛子は、カリスマ社長・浅海（松田翔太）のムチャブリに振り回されてばかりの秘書だったが、ある日ヤケクソで提出した企画が採用され、雛子はレストランの再建事業を担う“子会社の社長”に大抜擢される。しかし、ナマイキな部下・大牙（志尊淳）に振り回され、買い取ったレストランでは従業員の反乱が起きたりと、前途多難な毎日が描かれる。