『ムチャブリ!』松田翔太になぜ視聴者は引き込まれる? 『花より男子』から不変の存在感

松田翔太になぜ視聴者は引き込まれるのか

 『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』(日本テレビ系/以下『ムチャブリ!』)の松田翔太が、ズルい。彼が演じている浅海寛人は、何を考えているのか分からないカリスマ社長。突然、秘書の高梨雛子(高畑充希)を社長に抜てきしたかと思えば、「これさ、失敗したら笑いものだね」と笑っている。

 飄々としていて、カリスマ性があって、「社の方針に従わないんだから、切るべきだね」とあっさり言ってのける冷酷さも持っている。分かりやすそうに見えて、すべてを掴ませてくれない。だからこそ、「もっと知りたい」と好奇心をそそられるのだ。そして、どれだけムチャブリをしても、期待に応えるために頑張りたいと思わせる力が彼にはある。

ムチャブリ!

 その説得力は、松田翔太が演じるからこそ生まれたものなのかもしれない。松田が地上波連続ドラマに出演するのは、2019年放送の『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)以来、3年ぶり。同作で演じていたのは、主人公・三軒家万智(北川景子)を惑わす謎めいた男・留守堂謙治(三瓶良雄)だ。『ムチャブリ!』とは少し異なるが、こちらも何を考えているのかよく分からないミステリアスな役柄だった。

 だが、確実に何かを秘めている表情を見せるのが、松田なのである。ふとした時の、物憂げな表情。突拍子のないことを言い出しそうな雰囲気。それなのに、ドシッと構えていて。松田だからこそ表現できる凛々しさに、私たち視聴者は引き込まれてしまうのだ。

 やっぱり、彼はベールに覆われた役柄がハマる……と思いきや、2012年公開の映画『アフロ田中』のように、躊躇なくコメディに振り切ったキャラクターも演じることができる。人気のTVCM『au 三太郎シリーズ』でも、ちょっぴりおバカで愛らしい姿を見せていたり。そのギャップに、惹かれる人も多いのではないだろうか。

 また、ラブストーリーで存在感を発揮するのも、俳優・松田翔太の魅力のひとつ。王道ではあるが、2005年放送のドラマ『花より男子』(TBS系)で、彼を見た時の衝撃はいまだに忘れられない。原作漫画の西門総二郎がそのまま飛び出してきたかのような麗しさ。2018年放送の『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)で再登場した時には、当時と変わることのない輝きっぷりに感動を覚えた。ヒロイン・江戸川音(杉咲花)を壁ドンして、「大人の男の魅力に気づいちゃった……?」と問いかける姿。登場シーンは多くなかったものの、強く印象に残った。

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