藤原竜也&松山ケンイチ、15年ぶりの本格“競演" 『デスノート』コンビに泣かされるワケ

『デスノート』コンビ15年ぶりの競演に涙

 日本の映画シーンにおいて、ある種の伝説的な作品となった『DEATH NOTE デスノート』シリーズ(2006年)ぶりに本格共演を果たしている藤原竜也と松山ケンイチ。その共演作とは、二人がダブル主演を務めた『ノイズ』のことだ。それぞれにキャリアを積み重ねてきた二人の俳優人生が、ここで再び交差しているのである。

 架空の離島を舞台にした映画『ノイズ』は、招かれざる客の闖入によって綻びが生じ、それまで保たれていた何もかもが崩れていくさまを描いたサスペンスだ。出所したばかりの凶悪犯が保護司とともに島へやってきたところ、その男は早々に保護司を殺害。やがて彼によって娘が危険にさらされたことを知った泉圭太(藤原竜也)は、幼なじみで親友の田辺純(松山ケンイチ)と守屋慎一郎(神木隆之介)とともに、この男を誤って殺してしまうのだ。静かだった島には警察が大挙して押し寄せてくる。こうして圭太たちの、事件の隠蔽に奔走する日々が始まるのである。

 かつて“キラ”と“L”として、天才同士の闘いを繰り広げた藤原と松山。あれから長い時を経て、二人の俳優が今度は親友同士となっているのだ。これはアツい。筆者のようにリアルタイム世代の者にとっては、涙なしには観られないのではないかと思う。本作は次から次へと衝撃の展開が続く先の読めないサスペンスとあって、脚本の緻密さや演出の妙にも心を奪われるのだが、やはり最大のストロングポイントは、彼らの共演にして競演である。

 藤原演じる圭太は、島のみんなから愛される人気者。名産品である“黒イチジク”の生産者として世間から注目を浴び、隔絶された島の救世主となっている。圭太もまた、この島と、この島に住む人々を大切に思っているため、殺人事件が起きたと世に知れたら希望の道は途絶えてしまう。だからこそ、故意でなかったとはいえ、自らの犯した過ちの隠蔽に必死になるのだ。一方の松山演じる純は猟師で、害獣駆除などで生計を立てている青年。あまり明るい性格ではないものの、彼もまた気のいい人物だ。島のため、親友とその家族を守るため、大きなリスクを冒すこともいとわない。この圭太と純というキャラクターとその関係性を知っただけで、(一部の人にとっては)胸にアツいものが込み上げてくるというものだろう。

 本作はいくつもの驚きの展開が用意されたサスペンス映画だが、かといって派手な作品ではない。廣木隆一監督らしい、登場人物たちをじっと見つめるような演出で、カメラは引いた位置から大自然の中での彼らのやり取りを捉えている。圭太も純も“隠す”ことが一番の目的であるため、感情的になって声を荒げたりするということもほとんどない。極めて冷静に事に当たるのだ。藤原と松山の抑えた演技が絶品で、これによって観客は言い知れぬ緊張感を味わうことになるだろう。

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