宇野維正の興行ランキング一刀両断!
藤原竜也×松山ケンイチ『ノイズ』は初登場5位 平常時ならもっと話題に?
先週末の動員ランキングは、『劇場版 呪術廻戦 0』が土日2日間で動員16万9000人、興収2億3900万円をあげて通算4週目の1位。1月30日(日)までの公開38日間で観客動員数719万1107人、興収98億3964万4200円を記録。もっとも、前週まで好調が続いていた2位の『コンフィデンスマンJP 英雄編』、4位の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と合わせて、数字の伸びには明らかな鈍化傾向が見られる。オミクロン株の流行によって、2月2日(水)には日本全国で9万4930人の新型コロナウイルス感染が発表されて、国内過去最多を更新。ここにきて、コロナはまたジワジワと興行に影響を及ぼし始めている。
先週末3位に初登場した『バイオハザード』シリーズのリブート作品『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』の土日2日間の動員は10万4000人、興収は1億6100万円。これは、同フランチャイズの前作にあたる2016年公開の『バイオハザード:ザ・ファイナル』の同じ公開初週土日2日間の約26%の数字となる。
先週末5位に初登場した『ノイズ』の土日2日間の動員は7万7000人、興収は1億900万円。フランチャイズ作品ではないものの、同じワーナー配給×日本テレビ製作幹事×藤原竜也主演作として、実はこの数字、コロナ禍によって約1年の公開延期の末に昨年3月に公開された『太陽は動かない』の公開初週土日2日間とほぼ同じ成績となっている。いずれも、2017年公開の『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』と比べると4分の1程度、2019年公開の『Diner ダイナー』と比べても2分の1程度の数字。ワーナー配給×日本テレビ製作幹事×藤原竜也主演作としては、2006年の『デスノート the Last name』以来の松山ケンイチとの共演、さらにサポートキャストとして主演クラスの神木隆之介まで招集してのこの成績は、はっきり言ってかなりシリアスな状況と言える。
いずれにせよ、これだけコロナ禍が長引いてしまうと、作品の興行価値を見極める際の「ノイズ」が多すぎて、正確な評価が非常に困難な状況だ。作品の中身を評価するなら、『ノイズ』は近年の藤原竜也主演作品の中でも出色の仕上がりで、誰にでも胸を張ってオススメできる作品だ。しかし、「どうしても今、映画館に駆けつけなくてはいけない作品か?」(つまり「イベントムービー」的なバリューがあるか?)と問われると、答えに窮してしまう。