『スパイダーマンNWH』に続き『ザ・フラッシュ』も マルチバースの概念を整理する
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は日本でも大ヒットスタートとなりました。この作品にはたくさんの魅力がつまっていますが、“マルチバース”の楽しさを教えてくれたアメコミヒーロー映画というのも大きなポイントかと思います。特に現シリーズと直接つながっていない過去作をそれぞれがマルチバースの関係という形で説明することによって、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が始まる前=本来MCUとは別物だった、スパイダーマン映画のヴィランたちをMCUに登場させることができたわけですから。
さて、今年公開されるアメコミヒーロー映画の中でこうした醍醐味をまた味わせてくれそうなのが、DC映画の『ザ・フラッシュ(原題)』です。全米公開は11月4日。これはエズラ・ミラー演じるフラッシュことバリー・アレンが、その超人的なスピードでマルチバースを駆け抜ける作品になりそうです。エズラ版バリーは本来ベン・アフレックがバットマンを演じている映画世界の住人ですが、なんとこの映画ではマイケル・キートン版のバットマンが登場。
マイケル・キートンはティム・バートン監督の『バットマン』『バットマン リターンズ』でバットマンを演じていました。つまり、いまのDC映画世界と30年前のバットマン映画の世界がマルチバース設定でつながってしまうわけです。
しかしながら、この『ザ・フラッシュ』では単に2つの世界がつながるだけではなく、両世界が融合して新たなDC映画世界が生まれてしまう可能性があるのです。
ここで言葉の定義ですが「マルチバース同士がつながる」というのは、それぞれの世界を行き来できることが可能という意味であり、各世界同士は独自性を保ったまま並行して存在しています。それに対し「マルチバース同士が融合する」というのは、世界同士が合体してしまい、両世界の要素・特徴を併せ持つ新たな世界が誕生してしまうということです。『ザ・フラッシュ』はどうやら最初は主人公が複数の世界を行き来するぐらいだったはずが、その主人公の行動が新たなる世界を生みだしてしまうのかもしれません。