イ・ジヌク×クォン・ナラ『不可殺』は親子愛にフォーカス? 早くも気になる呪いの謎

イ・ジヌク『不可殺』は親子愛にフォーカス?

 呪われた者として生まれ、決して死ぬことのできない不可殺(以下、プルガサル)となってしまった男が、600年もの間を苦しみと恨みを抱えながら、呪いを解くために一人の女を追い続ける。Netflix配信中の韓国ドラマ『不可殺 -永遠を生きる者-』が幕を開けた。

 高麗末期、人々が恐れていたのは人間を食べる「鬼物」と呼ばれる怪物と人間の血を吸う不老不死であるプルガサルの存在。プルガサルに呪われた子として生まれてきた少年は、鬼物退治をする将軍タン・グク(チョン・ジニョン)に拾われ、タン・ファル(イ・ジヌク)として生きる。ところが、呪いを解くためにプルガサルに立ち向かったファルは魂を奪われてしまい、自らがプルガサルとなってしまう。

 まずはじめに描かれたのは血の繋がらない親子愛だ。グクの右腕となって活躍していたファルだが、周囲の人たちは相変わらず彼を呪われた不吉な存在として遠ざけていた。それでも、グクだけはいつもファルを気にかけ本当の息子のように可愛がり、生まれ変わることを望まないファルに対して「来世は実の息子として生まれよ。この父が守ってやる」と声をかける。実の父親からは手を払われ、誰も守ってくれなかったファルの支えとなったのは紛れもなくグクの存在だろう。最後まで父親としてファルをかばい、亡くなってしまったグク。ファルはプルガサルという怪物に飲み込まれず、「人として生きろ」と残したグクの言葉を守り続けることがグクへの愛の形となることだろう。

 続いては、血の繋がった親子愛だ。ファルとグクの娘タン・ソル(コン・スンヨン)との間に生まれた長男のアチャンは生まれた時から目が見えず、長女は早産で亡くなってしまう。涙を流しながら石を積んで娘のお墓を作るのも、アチャンを呪いから解放するためにプルガサルを断つ決意をしたことも、自分のせいで子どもたちを苦しめ守りきれなかった責任と父親としての愛があるからだ。呪いさえなければ、アチャンの手を握ってどれだけ抱きしめてあげたかったことだろう。グクもまた、人の過去が見えるという娘のソルを避け、我が子を抱きしめてあげられなかったことを悔やむ一人だ。この家族たちがいつか転生して再会した時、この思いを叶えてくれることを願いたい。

 プルガサルはファルの魂を奪い人間となって転生するわけだが、不可解な点がいくつかある。まずは、池に落ちた少年ファルを救い出し、村人に殺されそうになった時に盾となって助けたことだ。はじめからファルの魂を奪うつもりなら、救うことは無駄な行為である。また、ファルは自分を救ってくれた女性(クォン・ナラ)がプルガサルだと気づいたのにもかかわらず一度かばったのはなぜだろうか。つまり、二人には何かしらの因縁があるようなのだ。振り返ってみると、プルガサルは鬼物たちと違ってただ人間を殺すことを目的としているようには見えなかった。プルガサルの眼差しからは深い悲しみのようなものを感じ、どこか人間らしい姿があるからだ。もしかしたら、プルガサルはファルのように魂を奪われた人間だったのかもしれない。

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