『その年、私たちは』に散りばめられた恋の共感 チェ・ウシク×キム・ダミが本心を明かす

恋の共感散りばめられた『その年、私たちは』

 小さな共感が散りばめられ、何だか自分のことのように胸がときめいたり切なくなってみたり、一緒に涙をポロッと流してしまうNetflix配信中の韓国ドラマ『その年、私たちは』。チェ・ウン(チェ・ウシク)とクク・ヨンス(キム・ダミ)の姿に、“あの頃”の自分を重ねて懐かしんでいるからかもしれない。

 やはりジウンはヨンスに思いを寄せていたのか.…..。ウンの幼なじみキム・ジウン(キム・ソンチョル)が誰にも言えない秘密を私たちに教えてくれた第5話。以前、好きなのに話せない奴もいると話していたジウンだが、まさに自分のことを言っていたのだろう。ウンとヨンスのドキュメンタリーを見る表情は、PDとしてではなく個人的な“何か”を感じたが、それは“恋心”だったようだ。今もその恋心を抱いているのかどうかは、「未練が残っているだろ」とウンに余計なことを口出ししてしまったことが答えである。本作では、ジウンに限らずウンやヨンスもつい“余計なこと”を言ってしまう。けれども、この余計なことこそが本心だったりもする。ウンに問いかけているようで自分の気持ちを確かめていたのだ。ウンとジウンは幼い頃から長い時間を過ごし、想像以上に深い繋がりがあるとわかったことで、ジウンがヨンスへの恋心を胸に閉まった気持ちは理解できる。しかし、今回のドキュメンタリーを撮る中でジウンに変化が訪れることだろう。先輩PDのパク・ドンイル(チョ・ボクレ)がジウンに仕事を任せた意図があるように、ジウンはウンやカメラを通してではなく、自らヨンスの前に立ち自分が主役の人生を生きてみるのかもしれない。

 「私が捨てられるのはあなただけ」。ヨンスがウンに放った別れの言葉がずっと気になっていたが、その理由が明かされることになる。そもそもヨンスが他人に興味のないふりをして身勝手に振る舞っていたのは自分を守るためだった。そこに現れたウンは、辛い現実を忘れてしまうくらいのあたたかな愛でヨンスの日常を包み込み、強くいることしかできなかったヨンスの心を解し素直でいられるように導いてくれた。それはウンにとっても同じで、感情を抑えられないバカになるほど人間らしさを引き出して人生に彩りを与えてくれたのはヨンスと出会ったから。人は簡単には変わらないと言うけれど、変えることができるのもまた人なのだ。特に恋をした途端に昨日と今日がまるで違う世界に感じるかのように恋愛が自分を変えるきっかけになるのは、恋をしたことがある人なら誰もが頷くことができる。

 そして、喧嘩をして別れてもまた何度も出会い続けた二人は、最終的にヨンスだけ振り出しに戻ってしまった。唯一の家族である祖母を守り、借金まで背負う生活に追われ、いつの間にか平凡な生活を送ることが夢になってしまっていたヨンスと夢を掴めるチャンスがあるのに手にしようとはしないウン。「あなたの人生だから」と言えるにはあまりにも近すぎる距離だ。ウンと一緒にいることで現実を忘れることができたのに、今は一緒にいることで残酷な現実がより一層浮き彫りになっていく。ウンに別れる原因があればここまで傷つけなくて済んだのかもしれないが、自分が惨めになるというどうにもできない理由をウンに突きつけることはできない。誰も悪くはないからこそ、心ない冷たい言葉を投げるしかなかったのだ。本当に捨てたかったものは理不尽な現実だったはずなのに。

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