ローカルな作品こそが普遍性につながる Netflixに聞く、韓国コンテンツの隆盛

Netflixから見る韓国コンテンツの隆盛

 現在の韓国の映像コンテンツの隆盛の基盤の一つとなっているのが動画配信サービスだ。コロナ禍以降の需要の拡大も相まって、グローバルにほぼリアルタイムで韓国の映像コンテンツを楽しめるようになったことは現在の話題の大きな追い風となった。

 中でも存在感を発揮したのが、Netflixであることに異論を唱える人はいないだろう。現地の放送作品の配信権利を取得、グローバルに紹介するプラットフォームとしての機能を果たすだけでなく、制作においても数々の傑作を生み出した。『イカゲーム』も『D.P. -脱走兵追跡官-』も、Netflixなしではありえなかった作品だ。

 リアルサウンド映画部では、そんな現在に至るまでの人気を支えてきたと言えるNetflix PR担当者にメールインタビュー。一問一答形式で、韓国の映像作品ならではの魅力、プロダクト制作へのこだわりを明かしてもらった。(編集部)

確固たる制作能力が韓国の武器

『イカゲーム』

ーーNetflixから見て、Kコンテンツが話題になり始めたきっかけをどのように記憶していますか?

Netflix担当者:Kコンテンツブームの火付け役になったNetflixシリーズ『愛の不時着』以降、多くの韓国ドラマが日本の「今日の総合TOP10」にランクインするようになりました。『愛の不時着』は1年以上ものあいだ日本のTOP10に入り、9月17日から全世界独占配信中の韓国発Netflixシリーズ『イカゲーム』は、Netflix最大の視聴者数を獲得した作品となり、世界中から大きな反響をいただいています。同作品はアメリカのTOP10で1位を獲得したことに加え、日本やマレーシア、シンガポール、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナムなどの東南アジアやカタール、オマーン、エクアドル、ボリビアでも1位を獲得しています。

ーー『イカゲーム 』はNetflixオリジナル作品でもあります。韓国のNetflixオリジナル作品の魅力は?

Netflix担当者:韓国は日本同様、独自の作品を生み出す世界屈指のストーリーテリング大国です。とりわけ韓国のクリエイターは、過去数十年にわたってアジア地域の韓流ブームを先導し、その中で培った確固たる制作能力を土台に、クオリティとストーリー性の高い作品を継続的に配信しています。Netflixは世界中に視聴者がいるグローバルサービスとして、韓国作品のそうした点を評価しています。

『イカゲーム』

ーー多くの力作が揃うNetflix作品の中で、なぜ『イカゲーム』がここまで成功をおさめたのでしょうか?

Netflix担当者:Netflixでは素晴らしい作品はどんな国や地域でも生まれ、人の心を動かすものだと考えています。言語や文化が違っても、普遍的な共感を呼ぶ作品であればあるほど、その作品はより多くの視聴者に届き、愛されるものだと思います。 『イカゲーム』ではその土地に根付いている文化を映したローカルな作品を制作することに成功しました。同作品は魅力的なビジュアルを使用した、手に汗握るスリラー作品であり、観た人同士で議論ができる作品でもあります。そのような点がヒットの理由だと考えています。

『ハウス・オブ・カード 野望の階段』

ーーNetflixは早期からオリジナル作品に注力していた印象です。

Netflix担当者:Netflix全体では、2013年に配信をしたNetflixシリーズ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』をきっかけにオリジナル作品の制作を開始しました。2016年にグローバルローンチを行い、世界190か国へサービスを展開しスタジオ機能を強化しました。Netflix映画『ROMA/ローマ』や『Mank/マンク』などはアカデミー賞を受賞、2021年のエミー賞では最多ノミネート、また多くの韓国作品が第57回百想芸術大賞にて受賞しており、Netflix作品が業界でも評価され、多くのメンバーに視聴いただいていると実感しています。

ーーグローバルに展開しているNetflixですが、プロダクト制作において、「国民性」は重要でしょうか?

Netflix担当者:Netflixは、グローバルに向けた作品を制作するのではなく、常に各国ならではの本場のストーリーを発掘し、世界中に発信することを大切にしています。そして、素晴らしい作品はどんな国や地域でも生まれ、人の心を動かすものだと考えています。

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