『カムカムエヴリバディ』“1948年”は重要な分岐点に 安子の中に生き続ける稔の願い

『カムカム』安子編分岐点の1948年

 稔と安子の初デートを見守り、ルイ・アームストロングの「On the Sunny Side of the Street」を聴かせた喫茶店「Dippermouth Blues」のマスター、定一(世良公則)は、一人息子の健一(前野朋哉)を戦争に取られ、その安否もわかっていない。「なんの因果じゃろうのう。稔を殺した……健一を殺したかもしれん国の音楽……わしゃあ今日もかけとる」という言葉がずしりと響く。酒に溺れ、自暴自棄になっていた定一だったが、安子から聞いた、るいの名付けの由来に突き動かされる。そして舞台袖からステージへと飛び出し、歌ったのは「On the Sunny Side of the Street」。彼が自分に言い聞かせるように歌うこのフレーズが、安子の胸にも迫る。

I used to walk in the shade with those blues on parade
But I'm not afraid, baby
This rover crossed over

悲しいことばかりで、ずっと日陰を歩いてきたけれど
もう怖くないんだ
流れ者の俺は通りの向こう側に渡ったんだから

 こうして、登場人物それぞれが、それぞれの戦後を噛み締め、少しずつ前を向いて歩き出した第6週。英語や音楽を通じ、人と人とが関わり合って、悲しみやわだかまりを溶かしてゆく。それは国境を越え、生死の境界をも超える。ロバートの前で安子はそう泣き叫んだけれど、稔の努力と志は決して「meaningless(意味がない)」ではなかった。稔は今も安子の中に生き続け、安子を助ける縁(えにし)を呼び寄せる。「どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽でも自由に聴ける、自由に演奏できる。そんな世界を生きてほしい。ひなたの道を歩いてほしい」という稔の祈りは、安子の人生をこれからも照らすだろう。そして、今のところ苦難の幕開けの予感がする「るい編」ではあるけれど、彼女の人生も「稔の志」という名のバトンによって輝くことを祈りたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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