「上白石萌音さんでなければ成立しなかった」 『カムカム』演出が語る第4週に込めた思い

『カムカム』演出が語る第4週に込めた思い

 安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)の結婚という幸せがたっぷりと詰まった第3週の幕切れから一変、『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第4週は大切な人たちが次々と亡くなる悲痛な週となった。

 3人のヒロインを通して描く100年の物語ということもあり、これまでの“朝ドラ”作品より早いテンポで進んでいる本作。しかし、決して物語が“ダイジェスト”になることはなく、登場人物の一人ひとりが昭和という時代に実際に生きた人間として、視聴者のわたしたちの身近にいるような人間として浮かび上がっている。

 これまでの朝ドラでも戦争によって大切な人が亡くなるさまは描かれてきた。しかし、ここまで立て続けに、1週間の中で順番のような形で亡くなる姿を描いた作品は記憶にない。安子の母・小しず(西田尚美)と祖母・ひさ(鷲尾真知子)、父・金太(甲本雅裕)、そして夫・稔。これほど大切な人を一挙に失ってしまった安子を思い、胸が苦しくなった視聴者も多かったことだろう。

 チーフ演出の安達もじりは、“重い”第4週について、「優しさを持って描きたい」ということを心がけていたと語る。

「ヒロイン3人の100年にわたる物語ということもあり、確実に何人かの“死”を描く必要があるという覚悟を決めて制作に臨んでいました。第4週は金太の死と稔の死を、脚本の藤本(有紀)さんが非常に丁寧に紡いでいただいたこともあり、演出にも力が入りました。金太の死が幻想的な描き方をした分、稔の戦死の報告に関しては、音楽などで盛り上げるようなことはせずに、そのままを見せたいと考えました」

 稔の死を知った安子は家を飛び出し、2人の思い出の場所でもある朝丘神社へと向かう。ひざまずき、号泣する安子の姿は朝ドラ史に刻まれるであろう特別なシーンとなった。安達は「上白石さんなくしてはこの物語はできていない」とその演技力を絶賛している。

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