『アナと雪の女王』がその後の映画に与えた4つの影響 更新された“プリンセス”の定義

 2013年に全米公開され、社会現象を巻き起こしたディズニー映画『アナと雪の女王』が、『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で放送される。それまでのディズニープリンセスの定義を現代的にアップデートし、その後の作品に多くの影響を与えたエポックメイキングな作品だった。公開から約8年がたった今、『アナ雪』の革新性をふりかえってみたい。

1.王子は悪役! 自分の幸せは自分でつかむことを教えてくれた

 かつてあるハリウッド女優がインタビューで、「子供にディズニーアニメは見せないようにしていたの。王子と結婚すれば幸せになれると思ってほしくなかったから」と語る記事を読んだことがある。確かに、昔のディズニープリンセスといえば、だいたい最後は王子様に呪いを解かれ、愛のキスをしてハッピーエンドというのがお約束だった。その点、『アナ雪』のハンス王子は衝撃的だ。プリンセスのアナに近づき結婚を誓うが、後半で突如ヴィランとしての本性を現すのである。彼はアナの命より、自分の権力や欲望を優先する男だった。

 ハンスの登場で、「王子さま幻想」を打ち砕いた『アナ雪』。男性に頼らず自分の力で幸せをつかむプリンセスは、自立した女性が一般化した時代に、よりフィットしたヒロイン像となった。

2.女性を助けるのは女性! シスターフッドのはしりに

 『アナ雪』でハンスが小悪党だったことが判明した後、アナは窮地に陥ったエルサを助けようとして絶体絶命の状況に。そんなアナを「愛」の力で救ったのは、姉のエルサだった。女性を助けるのが女性という「女同士の連帯=シスターフッド」が、当時のディズニー映画で描かれたのは革新的だったと思う。

 その後ハリウッドでは、2017年に本格的な#MeToo運動が起こり、「シスターフッド」は映画作りのテーマとなって、多くの作品が作られている。『ドリーム』『オーシャンズ8』『ワンダーウーマン』『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』……なかでも『アナ雪』と同じ姉妹をモチーフに、童話『若草物語』を現代風にリメイクした『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』は世界の女性たちの共感を集めた。封建的な時代に、個性の違う4人姉妹が助け合う中、ヒロインのジョーは、男に頼らず、作家というキャリアに突き進むのだ。

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