板垣李光人×中島裕翔の目を奪われる美しさ 『秘密』が描く“知ること”の本当の意味

『秘密』が描く“知ること”の本当の意味

 人間の心は謎めいている。私たちは他人の心を知ることができない。この世界に残された最後の聖域が心と言っていい。もし、心の中をのぞくことができたら……。1月20日に放送された『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ・フジテレビ系)第1話では、秘密を知ろうとする私たちの願望を目に見える形で差し出した。

 科学警察研究所の法医学第九研究室、通称“第九”。死者の脳を特殊なMRIスキャナーにかけて、生前の記憶を映像として取り出す“MRI捜査”を行う科捜研の機密組織だ。室長の薪剛(板垣李光人)と副室長の鈴木克洋(中島裕翔)は大学時代からの親友で、第九の設立は薪の夢でもあった。MRI捜査の技術を開発したのは脳科学者の貝沼清孝(國村隼)である。

 ダブル主演の板垣と中島の美々しさに目を奪われた。俗に言うビジュアルが爆発している2人の関係性にいやがおうにも注目せざるを得ない。本作の設定はぶっとんでいる。MRIを用いた脳機能の解析は日々進歩しているが、映像化にはほど遠い現状だ。技術的なハードルをクリアしても、倫理的な問題が立ちはだかる。脳の中を見ることは、他人のプライバシーに踏み込むことで、故人の遺志に反する。また、冤罪の立証につながるものの、脳をスキャンした時点で死刑囚はこの世になく、命を奪った責任が問われる。

 フィクションだからこそ可能な物語が『秘密』である。では難解な作品かというと、決してそうではないことは原作の人気が証明している。清水玲子による漫画『秘密-トップ・シークレット-』は1999年から2012年にかけて連載され、映画化およびアニメ化がされた。読者/視聴者を引きつける秘密はどこにあるのだろうか? その疑問は第1話を観ることで氷解した。

 第1話では、設立間もない第九に死刑囚の脳が持ち込まれた。脳の持ち主は露口浩一(光石研)。6年前、同居していた家族を殺した露口の脳には驚くべき真相が隠されていた。『秘密』はジャンルで言えば、ミステリー・サスペンスに分類できる。主人公が所属するのは警察組織で、事件の深層を探る展開は刑事ドラマのプロットを踏襲している。けれども、それと別の部分に筆者は引き込まれた。

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