WEST. 小瀧望、『梨泰院クラス』で“舞台俳優の真価”を発揮? グローバル座組への期待

韓国から世界に向けて発信され大ヒットした『梨泰院クラス』(2020年)の主人公であるパク・セロイを、アイドルグループ・WEST.の小瀧望が演じるのだという。しかも、映像作品ではなく舞台作品だ。カカオウェブトゥーンで連載されていたチョ・グァンジンによる同名コミックを原作に、まさかの世界で初めてミュージカル化するというのである。ここ数年、舞台芸術の領域で評価を集めている小瀧が主演とあって、これは期待せずにはいられない。
WEST. 小瀧望主演で『梨泰院クラス』世界初ミュージカル化 日韓米のクリエイターが集結
カカオウェブトゥーン(旧ダウムウェブトゥーン)にて連載されていたコミック『梨泰院クラス』が、WEST.の小瀧望主演で世界初ミュー…
ドラマ『梨泰院クラス』が爆発的な勢いで広がり、熱狂的なブームを巻き起こした当時のことはいまだに鮮明に覚えている。時代はコロナ禍の1年目。誰もが自宅にいながら若者たちの奮闘に胸を熱くさせたことだろう。
あれから5年ーー。今度はあの物語が舞台作品として日本に上陸するのだ。「梨泰院」の街並みは、果たしてステージ上にどう立ち上がるのか。そして、パク・セロイをはじめとする若者たちはどのような声と身体とで表現されるのか。とはいえ、本作はドラマのミュージカル化ではない。原作コミックのミュージカル化だ。それを踏まえたうえで簡単にあらすじに触れておこう。
高校生のパク・セロイ(小瀧望)は、父(浅野雅博)の仕事の都合で引っ越すことに。その転入先で彼は、クラスメイトのチャン・グンウォン(秋沢健太朗)が見るに堪えないイジメを行っていることを知る。ところが校内の誰もが見て見ぬふり。セロイが思わず彼を殴ってしまったことによって、運命の歯車が大きく動き出すことになるのだ。
何せこのグンウォンは、セロイの父が勤める国内最大手飲食チェーンの会長の長男。セロイは退学処分となり、父も辞職せざるえを得ない。そのうえ、父がグンウォンのバイクに轢かれて他界してしまうという悲劇が重なる。当然ながらセロイは怒りを止められず、グンウォンに暴力を振るって刑務所へーー。やがて出所し、7年後、飲食店を開いたセロイは仲間たちとともに梨泰院の街で闘っていくことになるのである。
この作品の世界観を創り上げるのは、日本と韓国とアメリカのクリエイター陣だ。脚本を手がけるのは坂口理子で、ドラマ『女子的生活』(2018年/NHK総合)や映画『かぐや姫の物語』(2013年)、『恋は雨上がりのように』(2018年)、『銀河鉄道の父』(2023年)といったさまざまなジャンルの“原作もの”の実写化に貢献してきた。彼女にしか紡ぐことのできないセリフが『梨泰院クラス』でも生まれるのだろうし、登場人物たちと観客とが同居する空間でそれらがどのように響くのか、早くも気になるところだ。