『マイネーム:偽りと復讐』『わかっていても』で話題 今観たいハン・ソヒ出演作4選
Netlixで配信が開始し、連日視聴ランキング上位に食い込む韓国ドラマ『マイネーム:偽りと復讐』。復讐のために生きる主人公を演じているのが、ハン・ソヒだ。物言いたげな表情と目つきで心情を語り、体当たりなアクションは観る人を圧倒させる。前作の等身大の大学生を描いた作品『わかっていても』からは、イメージが一転。同一人物とは思えないほどの振れ幅を見せてくれる彼女の出演作を紹介したい。
『マイネーム:偽りと復讐』(2021年)
自分の誕生日に父親を殺害された女性が、復讐のために自分の名前を捨て、別人として生きる姿を描くサスペンス。監督は『人間レッスン』のキム・ジンミンが務めている。1話完結という概念がなく、配信のために1本のノワール映画を8話に刻んだような作品で、一度観始めると止められない。瞬きをしているうちに観終えてしまうような疾走感のある作品だ。
ド迫力のあるアクションシーンと、一言では言い表すことのできない人間の情に焦点を当てて描いているのが本作品の見どころの一つ。さらに、カメラワークが秀逸で、登場人物の視点に突如切り替わる演出は、まるでその場にいるような臨場感を感じさせる。
ハン・ソヒは、父親を失った絶望から、人間らしく生きることを諦め“怪物”へと変化していく主人公ユン・ジウを演じる。学校で暴力団の娘といじめられながらも、必死に耐え抜いてきた17歳だ。そんな彼女にとって、ずっと夢見てきた“父と海辺の家で幸せに暮らすこと”は生きる目的になっていたに違いない。しかし、その目的は、残虐な事件によって復讐へと切り替わってしまう。目から光が消え、笑うことを忘れ、静かにブチ切れる彼女の演技は鳥肌が立つ。「悔しい」「生きるのが辛い」「助けて」そんな心情を表す台詞の代わりに、憂鬱で物言いたげな表情で訴えかけてくるのだ。さらに、後悔や自分に対する腹立たしさを復讐の念に昇華させていくシーンは、一度観たら頭から離れなくなるほどの強烈な印象を与える。拍手を送りたくなるような凄まじいアクションシーンと、殺気立つような演技の数々は、彼女の新たな一面を見せてくれると思う。
『わかっていても』(2021年)
美大を舞台に、友達以上恋人未満の関係を始める男女を描いた作品。全10話を通して、20代の恋愛を叙情的に映し出していく。物語は、失恋中の主人公ユ・ナビ(ハン・ソヒ)とつかみどころのない男性パク・ジェオン(ソン・ガン)が、偶然出会ったことから始まる。次第に惹かれ合っていく二人だが、その関係性はいつも曖昧だ。付き合っている確信が欲しいナビと、その意味が分からず今この瞬間を楽しみたいジェオン。各話のタイトルに“わかっていても”とつくように、期待しても無駄だと頭では理解していても、自分の気持ちを抑えきれないナビの葛藤が描かれている。“愛とは何か”をテーマに、ナビやジェオン、美大の仲間たちが様々な答えを出していくのが本作品の見どころの一つ。二人の関係性にどちらが終止符を打ちに行くのか、なぜジェオンは深い関係を築くことを避けるのか、最後まで見逃せない。
ハン・ソヒは、パリへの交換留学を目指して美術に向き合うものの、いつもどこか迷いがある学生ユ・ナビを演じる。ただ遠くに行きたいだけなのか、美術が本能的に好きなのか、自分でも分からず悩んでいる。さらに恋愛面では、自ら見る目がないと言い切るほどの辛い恋愛経験者だ。そんな失恋の痛みを一瞬で拭い去ってしまうような男性ジェオンと出会ってからは、葛藤しながらも恋に落ちてしまう。感情をあまり表に出さない役柄だからこそ、彼に振り回される度に見せる憂鬱な表情の数々が何ともいえない。さらに、物語が進むにつれて、振り切れていくナビの変化も見どころだ。心情変化にスポットを当てて描く作品だからこそ、彼女の繊細な表情の演技を堪能できる一作だと思う。