『沈まぬ太陽』『空飛ぶタイヤ』など 海外作品に並ぶ「連続ドラマW」の力強さ

海外作品に並ぶ「連続ドラマW」の力強さ

 現在放送されている宮部みゆき原作の『連続ドラマW ソロモンの偽証』のようなミステリー作品から、昨年映画と完全に連動させた吉田修一原作の『連続ドラマW 太陽は動かない -THE ECLIPSE-』のようなアクション作品、ひいては医療・刑事・法廷のテレビドラマの鉄板ジャンルに至るまで、つねに硬質で見応えのある作品を生みだしているWOWOWのオリジナルドラマ「連続ドラマW」。なかでもその強みは、事件・事故をモチーフにした小説を映像化した際にこの上なく発揮されていると見える。

 小説、とくに緻密なディテールを有する長編の社会派小説において、ある程度の長さの時間に物語を収めなくてはならない映画では、自ずと削ぎ落とさなければならない部分が出てしまうものだ。登場人物自体や、そのバックグラウンドを省略したりなど、確かに優れた脚色力が発揮される反面、忠実にその物語が持つ世界観に触れることはなかなか難しくもある。また一方で、地上波の連続ドラマの場合は決められた枠の中にはめ込むために物語を肉付けする必要が出てしまうことも少なくなく、場合によっては蛇足も生まれてしまう。

 また同時に、スポンサー企業の意向に沿うようなそぶりも見せず、ある意味でスポンサーたる視聴者に向けて見応えのある物語を提供するというクオリティ追求に絞った作品づくりを行えることもWOWOWが有料放送であることのメリットのひとつだ。よって地上波では描くことができない踏み込んだ題材や、時には少々ショッキングな描写も可能になる。こうしたことを踏まえると、すでに映画のクオリティを超えつつある海外のドラマシリーズに、この日本で最も近しい位置にいる作品群なのではないだろうかと思えてしまう。

『連続ドラマW 沈まぬ太陽』

 具体的な例を挙げていくとすれば、まず真っ先に浮かぶのは2016年にWOWOWの開局25周年記念作として製作された、山崎豊子原作の『連続ドラマW 沈まぬ太陽』だ。これはもはや“強み”を“凄み”へと昇華させたかのような、日本ドラマ屈指の渾身作であった。日本を代表する大企業である国民航空なる航空会社に勤める主人公が、自らの信念を貫こうとしたことへの報復人事として世界中の僻地を点々とすることを余儀なくされる。それでもなお信念を貫こうと戦う姿を、未曽有の航空機事故を大きなターニングポイントに据えて描くのである。

『連続ドラマW 沈まぬ太陽』

 このドラマが製作される数年前には、若松節朗監督・渡辺謙主演によって約3時間半の長尺をもって映画化されている。役者の持つ迫力と荘厳さによって画面を保ち、映画としてのクオリティは間違いなく指折りなものであった反面、あまりにも長編であった原作小説の要素は3時間半をもってしてもすべては描ききれず、かなり削ぎ落とされたものに仕上がっていた。それをこの「連続ドラマW」では、各約50分・全20話、映画のおよそ5倍近い長さでしっかりと見せるのだ。

『連続ドラマW 沈まぬ太陽』

 上川隆也演じる主人公の心情表現や彼を取り巻く人々の群像性、大企業内部の軋轢から、前半部における重要な要素であるアフリカのロケーションにいたるまで余すところなく見せ、さらに余韻を残して物語に情緒を生む。原作が持ちうる強度を寸分たりとも欠かさずに、かつ小説というメディアでは想像力を駆使しなければならなかった情景をも可視化させることで、小説の映像化作品として果たすべき役割をこなしたのである。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる