『日本沈没』小栗旬演じる天海にスキャンダルが コロナ禍を彷彿とさせる台詞も
未曽有の大災害をめぐる政官財のサスペンス。日曜劇場『日本沈没-希望のひと-』(TBS系)第2話では、関東沈没の証拠となるデータをめぐって攻防が繰り広げられた。
今まさに起こりつつある危機。その兆候をいち早くつかんで警鐘を鳴らすのは、専門家と政治家の役割である。ほんの少し前に、私たちが目にしたばかりの光景がドラマの中でも繰り返された。止まらない感染拡大を前に、現在進行形で増大するデータから何を読み取るかをめぐって、国会やメディアで喧々諤々の議論が繰り返されてきたのは周知のとおりである。首都東京が海中に没するかつてない国難に際して、前面に出たのは、ふだん水面下にあって見えなかった政治家や官僚、学者それぞれの利害と組織の建前だった。
天海(小栗旬)は、未来推進会議の席上で田所(香川照之)の主張を擁護したことで世良(國村隼)を敵に回し、週刊誌に事実無根のスキャンダルを書き立てられる。謹慎を命じられ、会議のメンバーから外されかけた天海。このままでは政治家への転身という野望もついえる。弱り目にたたり目ではないが、こんな時に限って別居中の妻・香織(比嘉愛未)から離婚を切り出される。一寸先は闇という点で、官僚の世界も世間一般と異ならない。
天海が狙い撃ちにされたのは、もちろん田所の関東沈没説を擁護したためだが、何よりもそれが不都合な真実だったことが大きい。もし単なる見解の違いで済むなら、対立する人々もそこまで躍起になって天海を潰しにかかる必要はないだろう。不都合な真実は大義名分が持ち出されて正当化されるが、その裏には決まって私的な動機や利害関係が潜んでいる。後に明かされたように、世良が関東沈没説の証拠となるスロースリップ現象のデータを改ざんし、断層の映像を上書きした背景には、田所への個人的な嫉妬の感情があった。