細田佳央太「“一生懸命にやる”はブレずに」 役作りへのスタンスとブレイク後の心境を語る
NUMAの新作イヤードラマ『脱出カプセル』。NUMA初の本格的なSF宇宙作品を耳で楽しむことができる。主人公のアカシという男は、目を覚ますと一人、脱出カプセルの中で広い宇宙空間を漂っていた。どうやら母船であった大型宇宙船に異常事態が発生し、船外に噴出された様子。記憶が曖昧な中、カプセルに残されているエネルギー量は残り3日で尽きることを知るーー。
SFサスペンス作品となる本作でアカシを演じるのは、今最も注目を浴びている若手俳優の1人、細田佳央太だ。映画『町田くんの世界』で大規模オーディションを勝ち抜き、見事主演に抜擢され映画初主演を果たしてから、業界内で強い存在感を発揮している。2021年は4月期ドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)でさらに注目を浴び、現在放送中のドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系)にも出演。また、出演映画も3作公開されるなど引っ張りだこの様子だ。そんな細田に『脱出カプセル』の収録について、そしてブレイク後の俳優活動について話を聞いた。
SF作品に初挑戦
ーー『あの恋は、檸檬のようだった』以来のイヤー(ラジオ)ドラマ出演だと思いますが、そのときの体験と比べて今回はどうでしたか?
細田佳央太(以下、細田):録るシチュエーションからすでに違いましたね。『あの恋は~』の方は、立ちながらやっていましたし、結構体も動くシーンがあってお芝居も自由にやっていました。でも今回は宇宙空間に漂う脱出カプセルの中にいる設定で、監督も主人公のアカシが座った状態でいることをイメージしていたので、自分もずっと座りで収録していました。体の状態を比べてもだいぶ前回の体験とは違うので、全く別物として考えながら演技をしましたね。声だけで伝えることの難しさを改めて実感しました。
ーー恋愛ものだった前作に対して、本作は全く異なるSF作品となっていますね。
細田:振り幅を強く感じましたね。というのも、僕自身があまりSFを観るタイプじゃないんですよ。『スター・ウォーズ』とかも観ないので。まだアクションがなかっただけ安心だったのですが、ラジオドラマという声だけしか使えない作品で初めてのジャンル、世界に触れるというのは、ワクワクもしたけど正直不安の方が大きかったです。何しろ今まで日常系の作品ばかりに出演してきたし、非日常系のものでも本作のように地球から出てはいません。メインで引っ張っていくポジションでもあるので、経験不足の自分が引っ張ったら……という意味でもプレッシャーや不安を感じました。
ーー脚本にとにかく驚かされましたが、最初に読まれたときの感想を教えてください。
細田:ビックリしましたね。今まで良い人となりのキャラクターを演じさせていただくことが多かったからこそ、読み終えた後の主人公のギャップにはビックリしましたね。しかも27歳で妻子持ちという大人な役柄というのも、初挑戦でした。普段2、3歳上とかの役を演じることはありますが、30歳近くにもなると、自分の実年齢に対してまだ遠いので、声も含めてどのくらい変化があるのかわからず、年齢的な差も手探りで挑みましたね。
ーー具体的にはどのようなアプローチで探ったんですか?
細田:やはり一番は、声の低さですかね。普段の自分の声よりも、もっとどっしりしていると思って近づけました。くわえて、モノローグと台詞の掛け合いの部分のアカシの声を使い分ける必要もあったので、そこでも音の低さにはすごく気を配りながらアプローチしましたね。モノローグは透明感というか脱力感、力の抜けた感じのアカシを表現しました。去年の冬に『いきなり本読み!』という舞台を観させていただいたとき、神木隆之介さんが宇宙人の少年みたいな役をやっていて。その役の冷静さや落ち着いた雰囲気に少し影響を受けました。モノローグの脱力感は、それをイメージしましたね。
ーーモノローグからセリフへの切り替えも大変ですよね。
細田:作品によってはモノローグを切り替えてほしい場合と、話している延長線上で大丈夫という場合があるんです。今回は演じ分けて、モノローグを朝一に収録したんですが、朝一だったからこそ出せた脱力感もあったと思います(笑)。
ーー本作はとにかく引き込まれる作品で、最終話には第1話から想像もできなかった“どんでん返し”が用意されています。細田さんご自身、普段からこういったジャンルの作品はご覧になりますか?
細田:“どんでん返し”で言ったら結構引っかかりやすいタイプで、ドラマでは『あなたの番です』(日本テレビ系)や日曜劇場の『半沢直樹』(TBS系)など、いい意味で期待や予想を裏切られる作品はすごく好きですね。
ーー普段から映画・ドラマはどんなジャンルの作品を観ることが多いですか?
細田:日常系ですかね。無意識に選んでいるものは、ほっこりしている話とかが多いのかな。沖田修一監督の作品が好きです。でも、暗いものをテーマにしている作品を観ることも多いです。意外と抑揚がなく物事が進むし、日常を描くものが多いので。そういった作品を観ることが多いからこそ、“どんでん返し”とかに持ってかれやすいのかなと思います。
ーー脱出カプセルに酸素が残り3日分しか残されていないという設定から本作は始まりました。細田さんは世界が終わるまで「あと3日です」と言われたら、どのように過ごしますか?
細田:いつも通りの生活をしますね。ご飯食べて、寝てっていう。別に特別なことをしようとは思わないです。あ、でもハンバーガー10個食べてみたいな。お金を使って、おいしいものとか、自分が今までいっぱい食べたかったものを食べたいですね。でもたぶん、ほとんど体に悪いものだと思います(笑)。野菜とかよりは、焼き肉、ハンバーガー、牛丼みたいなことになると思います。
ーーお肉しか出てきてないですね(笑)。
細田:本当ですね! じゃあ、お寿司とてんぷらを追加してください。あと3日しかないので病気になったって知ったこっちゃないですから。でも普通においしいものを食べられたらなって思います。