話題作『イカゲーム』で実現 イ・ジョンジェ、パク・ヘスら新旧韓流スターの競演

『イカゲーム』で実現、新旧韓流スターの競演

デスゲームの現代型進化形と新旧スターの競演で大ヒット

 紛れもなく、2021年の韓国ドラマを代表する作品となった『イカゲーム』。Netflixで9月17日より配信開始されると、本国のみならず、韓国ドラマ初となるアメリカでの視聴ランキング1位獲得をはじめ、東南アジアや南米など各国で1位となる大ヒットに。日本の総合TOP10でも1位に君臨し、韓国ドラマの底力を改めて示している。

 Netflix共同最高経営者(CEO)で最高コンテンツ責任者(CCO)のテッド・サランドスによれば「Netflixの非英語圏作品の中で最大の作品になりそうだ」という(※1)。開始早々から「似ている」と指摘があった『神さまの言うとおり』や『カイジ』、『LIAR GAME』に『バトル・ロワイアル』、Netflix日本オリジナル作品として大ヒットした『今際の国のアリス』などにも相通じる、日本ではおなじみの“デスゲームもの”が、なぜ、ここまで国を超えて人々を魅了することになったのだろうか?

地獄のようなサバイバルゲーム、でも現実世界こそ地獄

 早くもシーズン2への更新が期待されている本作は、456億ウォン(約43億円)の賞金がかけられたサバイバルゲームで最後の勝者になるため、年齢や立場を超えた参加者たちが命をかける物語。『トガニ 幼き瞳の告発』や『怪しい彼女』『天命の城』の監督ファン・ドンヒョクによるオリジナルストーリーだ。配信に先立ったオンライン制作発表会でドンヒョク監督は、デビュー作(『マイ・ファーザー』)発表の後、漫画喫茶に通いつめてこのジャンルを韓国式にできないか研究し、「2009年に脚本を完成させた」と言及している。(※2)

 劇中で行われる6つのゲームは、日本の陣取りゲームや“ケンケンパ”に似たイカゲームをはじめ、“だるまさんが転んだ”、ビー玉など、ある一定以上の世代が子ども時代に慣れ親しんだ外遊びを思わせるものばかり。『神さまの言うとおり』に似ていると指摘されたのもこのためだが、デスゲームに参加するのは若手俳優が演じる高校生やZ世代ではない。『カイジ』のように、超格差社会の中で日の目をみることができず、毎日、地を這うように生きている“いい年をした”大人たちがほとんどだ。第1のゲーム“だるまさんが転んだ”から、単純ではあるが容赦のないゲームが繰り広げられ、やがては『ハンガー・ゲーム』的な展開も待ち受ける。

 血しぶきが飛びまくるゲームを行う場所は、人里離れた巨大な施設。“遊び心”を通り越した人を小馬鹿にしたようなシュールでポップな異世界で、遊び場というよりは『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の最終シーズンに登場した移民収容所を思い起こさせる。しかも、参加者は囚人服のごとく緑色のジャージを着させられ、ゲームをコントロールする側はフロントマンと呼ばれる黒マスクの人物を除いて、『ペーパーハウス』の強盗団さながらの赤色の扮装をし、マスクには○や△、□が施されている。

 参加者が同じジャージに身を包むのは、このゲームにおいては誰もが公平かつ平等であることの象徴らしい。外の世界はあまりにも理不尽で不公平、参加者は不平等と差別に苦しんできたはずだから、というのだ。そんな発想自体が傲慢極まりなく不遜であると、ゲームの主催者は思いも寄らない。先日、『イカゲーム』のあまりの人気ぶりに、Netflix共同CEOであり創設者であるリード・ヘイスティングスが緑色のジャージを着た写真をInstagramにアップし「457番目のゲーム参加者」と書き込んでいたが、これはあまり笑えないジョークだ。

 
 
 
 
 
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 ゲームに参加した主人公のひとり、456番のソン・ギフンは、勤めていた自動車メーカーを解雇され、『パラサイト 半地下の家族』のキム・ギテクのように台湾カステラか、あるいはチキン店か、飲食業に手を出すも失敗。別れた妻は再婚し、8歳の娘からは同情され、老母のすねをかじる情けない中年だ。演じるのはイ・ジョンジェ。『神と共に』ではカギを握る閻魔大王、『新しき世界』ではスーツを着こなすインテリヤクザを装う潜入捜査官に扮し、『ハウスメイド』での欲望を抑えられない御曹司のスマートぶりからは一変、これほど落ちぶれた役のイ・ジョンジェは珍しい。見てみたかったような、見たくはなかったような(?)姿で、ドンヒョク監督の過去作に出演していた“著名な人気俳優”からビンタされるシーンもある。

 もうひとりの主人公、218番のチョ・サンウは、地元でも有名な秀才でソウル大卒、証券会社に勤めるも横領や詐欺行為で60億ウォンもの損失を出し、彼も老母に顔向けできないでいる。サンウは頭が切れてリーダーシップを発揮できるが、冷酷なまでに勝負に徹する一面も。『刑務所のルールブック』や映画『狩りの時間』のパク・ヘスが演じており、特に前者の朴訥とした野球選手役で彼を知る方は驚きを隠せないはずだ。

 ここに、幼い弟と命からがら脱北してきた067番の女性カン・セビョクや、パキスタン出身の不法滞在労働者の199番アリ・アブドゥル、脳腫瘍を患う参加者最高齢の001番オ・イルナムらが加わり、生き延びるために知力と体力を合わせていくことになる。ほかにも夫婦で借金を抱えて参加した者や、子どもを出産したばかりという女性などもいる。サバイバルに挑む者たちの背景が描かれるのは主要人物のみだが、参加者それぞれがリストラや商売の失敗、借金取りに「身体放棄の念書」を書かされるといった“生き地獄”よりも、どうせなら巨額の賞金を手に入れられる、よりマシな地獄のほうに命を賭けるしかなかったことが伺い知れる。これは彼らの自業自得だろうか? こうした“生き地獄”はゲームの単純明快さと同様に、コロナ禍でいっそう顕著になった普遍性と共感性を纏っている。



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