『イカゲーム』シーズン2、世界のファンの受け止め方は? 賛否の行方を考える

Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン2が12月26日から配信中である。配信から3週間ほど経ったが、グローバルTOP10で3週連続1位を保持している人気ぶりだ。非英語作品にしては力強い結果である。しかし、内容に関しては賛否の声が多く上がっている。
IMDbではシーズン1毎話の評価平均が8.0だったことに対し、シーズン2が7.5と落ち込んだことが読み解け、レビューサイトRotten Tomatoesではシーズン1が批評家が95%、視聴者側は83%、一方シーズン2がそれぞれ83%、63%とやはり前シーズンに比べて落ちていることが窺える。では賛否の論点はどこにあるのか、そして『イカゲーム』シーズン1を盛り上げたと言っても過言ではないYouTubeのリアクターたちの反応はどうだったのか。
『イカゲーム』の社会現象とYouTubeリアクター
そもそも筆者がなぜ批評家だけではなく、YouTuberであるリアクター(リアクション動画を主なコンテンツとする動画投稿者)の反応や意見を尊重したいのか。それは、特にこの『イカゲーム』という作品そのものが社会現象と言われるほど世界的に広まった要因の一つに彼らの存在があったと考えるからだ。
多くの人がロックダウンで自宅待機を余儀なくされたコロナ禍で、YouTubeの中で最も伸びたコンテンツの一つがリアクション動画である。日本のアニメや流行のドラマなどを鑑賞し、リアクションする動画は以前からあったが、コロナ禍で人との繋がりを求める人が増え、以前にまして「誰かと一緒に同じ作品を楽しむ」心地が味わえるリアクション動画は人気を博した。それと同時期に配信された『イカゲーム』は劇中さまざまなショッキングシーンがあるため、リアクションに最適な作品。多くのリアクターが本作を取り上げ(本作をきっかけにリアクション動画を撮り始めた人も少なくない)、再生数を稼ぎ、それを見て新たな動画投稿者が同じようなリアクション動画を上げる。それが『イカゲーム』の大きな盛り上がりに貢献したことは想像に難くないだろう。
だからこそ、当時本作をリアクションした彼らが3年後の新作に何を思うのか、筆者は気になるのだ。ここからは彼らの作品に対する具体的な感想を、海外メディアの評価とともに紹介する。
無駄に思えたプロットへのストレス
わかりやすく批判が向けられているのは、前シーズンで行方不明の兄を追ってゲームに潜入した刑事ファン・ジュノ(ウィ・ハジュン)を取り巻く物語だ。彼はシーズン1でこそ運営側に潜入し、ソン・ギフン(イ・ジョンジェ)たちがゲームをしている裏側で何が起きているのか私たちに見せてくれる役割を担っていた。しかし今回はフロントマン(イ・ビョンホン)に撃たれ海に落ちた自分を救助してくれたパク船長(チョン・ホヨン)と一緒に、ゲームが行われている島の捜索を行う。再びゲームに参加したギフンの命が脅かされている状況ゆえ、本来タイムリミット付きの緊迫した役回りであるにもかかわらずパク船長がゲーム側の内通者であり、常に妨害されていたことが最終話で判明。しかし、チャンネル登録者数93.6万人超えのYaBoyRoshiや登録者数89.1万のThe Normiesなど、多くのリアクター陣は船長が最初から怪しいとわかっていた様子。番組側が“サプライズ”として用意した演出も、あまり効果的とは言えなかった。
それ故に、ジュノの捜索物語が最初から最後まで何の進捗も見せずに終わってしまったこと、同時に何も起こらない彼の物語がギフンのゲーム内の物語と交互に描かれるために「そっちはいいからゲームを見せてほしい」という意見も少なくなかった。Washington Postのリリ・ルーフブローは「ジュノのストーリーは盛り上がるどころか停滞し、ギフンのストーリー展開は曖昧になっている。最悪なのは、敵役(フロントマン)がよくわからないまま終わっていることだ」と、シーズン2を総評。HuffPostのキャンディス・フレデリックも「いつもボートのシーンになるたびに退屈になってしまっていた。それにシーズン2が決着していないことも気に入らない」と寄稿している。
“前半構成”に対する消化不良
ジュノのプロットと同じくらい言及され、多くのリアクターが(そして筆者も)驚いたのが、シーズン2がある意味“シーズン2 前編”といった構成だったこと。エピソード数はシーズン1に比べ少なかったが、それでも鑑賞前から話が途中で終わることを予想していた者は少ない。しかし、第4話・第5話あたりで「これは終わらないのでは……」と察し始めるのだ。チャンネル登録者数129万人のReel Rejectsや先述のThe Normiesも「(Netflixが)事前にそういった構成であることを発表してくれたらよかったのに」と語っている。
Reel Rejectsのグレッグ・アルバはそれに加え「その過程の中でも参加者がなぜそこまでお金が欲しいのか、丸を押すのか、そのモチベーションと鍵となるものが深く描かれなかった」とコメント。キャラクターそれぞれの背景がシーズン1に比べ軽薄になり、◯と×の記号でしかなく、それにより彼らの死もただ“数が減った”だけで、前作ほどの揺さぶりがなかったことも指摘している。
























